黄色い時間
これで、事務所内で髪の黒いのはモリタだけだ みんな黄色い髪を自慢げにしている高い専門職の者らは、いくつもの会社を次々と移りながら仕事をするのが日課だった会社の拘束時間は3~4時間だが、稼ごうとするなら、時間が足りず、睡眠時間を減らすため熟眠剤を飲む すると副作用で髪は黄色くなる ツツミ「時々、君が羨ましいよ 贅沢をしなければ、1社だけで十分生活できる 働けば働くほど、家庭の幸福は遠くなってゆく...
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しばらくして、モリタの髪は見事な黄色になった同僚には「重要な仕事で言えない」と隠しているのが噂になるほどだしかし、実際は、専門職としての誇りと虚栄を維持するために熟眠剤を飲み、夜、無理やり起きているのだった1分1分が苦痛だったこんな退屈なやりきれない時間これで生きていると言えるのだろうか時間潰しこそ、現代ではいちばん困難な仕事ではなかろうかそうでなければならなかった
View Article終りがはじまり2
以前起こったことと違う時間の中で、マスオは再び猛烈に勉強し、志望校のレヴェルも上げるまでになったが、大学に落ちてしまう絶望して、家に帰ると、また緑色の怪物を見て、反射的に捕まえる(ワルカッタ キミヲ ジッケンダイニシタ タスケテ)とテレパシーで話しかけてくる(ワタシハ チキュウイガイニスムウ...
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日生と大多府島の周辺「昼間、みんなの見ている前で消えた」と、現地のタクシー運転手から聞く現場はマスコミと野次馬でいっぱいで、捜索に出て消えた船に保雄も乗っていていたと知る幹夫幹夫「行方不明になるなら、なってみればいい そうでもしなければ、どうにもならないんじゃない」その船が戻ってきたと知らせが入るが、乗っていたのは、金属的な服を着た妙な人間たちだった全部で15、6人 「私たちは追われています...
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毎読新聞岡山支局・森は、頭をひどく殴られ出血している「僕は、あいつらのやったことを撮ってやりましたよ」それを持って、本社へ走ると、「助けて! お願いします」と少女が来た異次元から来たと説明し「せっかく新しい世界があると分かって、みんなで逃げたのに捕まってしまった・・・私たちの世界は、今、昭和37年なんです 私の名前は小西佐夜子...
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一般の人々は、警察に逆らわず、進んで協力もしないため、2人は佐夜子の仲間の連絡所に向かう「そこならニセモノの身分証明書も手に入るわ市民番号、生年月日、犯罪履歴、その他あらゆることを記した紙きれそれを持っていないと逮捕され、徹底的に調べられるの」連絡所は警察の手に落ちていたが、クルマで逃げ、赤穂に向かう佐夜子途中でクルマを逆行させて、2人は降り、警察車両と激突して谷に落ちる
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日生と大多府島の周辺2人は水谷という反政府グループのリーダーの1人に助けられる「我々は、赤穂駅で列車を襲う 日生で捕えられた人が護送される情報を掴んだんだ」幹夫も大型のピストルを渡される 列車には俊郎や、拷問で重体の保雄もいた水谷「君たちは赤穂御崎から船で元の世界に戻る...
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次元を越える時の振動が、その都度激しくなることを危惧する佐夜子日生に着くと、森が迎えに来た「昨日占領され、町は完全に支配されています すぐに脱出しなければ!」佐夜子らは軍に取り囲まれるが、ようやくこちらの機動隊と遭遇する日生からは続々と脱出者が出て、向うの軍は情報をすべて遮断したという病院で保雄らが手当してもらおうとすると、日生港に大部隊が上陸したと知らせが入る「我々の目的は、人殺しではありません...
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夫は口論の末に息子に手をあげたことで妻に告発され、全日本PTA連合から「明日朝9時に来てくれ」と言われる「息子が自家用ジェットを買えと言ったので、そんな余裕はないと言うと僕が無能だからだと嘲笑したから、軽く一発くらわせただけです子どもにはいい薬だと思いますがね」「呆れた そんなことしながら、まるで反省の色がないわ」「昔の子どもはどうだった?...
View Article二十四時間の侵入者3
叔父は、インクを買いに行くついでに、いろいろ調べて戻った同じような事件があちこちでたくさん起きているどれも地方の小事件として片付けられていたが、同じ人相で、エスカレートしたから知り合いの記者も調べているところだったその夜半...
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