江戸時代、当時「讃岐国」だった香川県では塩・砂糖・木綿が特産で、「讃岐三白」と呼ばれていました。このうち「砂糖」は幕府への献上品にされ、庶民の口には滅多に入らなかったそうです。
「せめて正月ぐらいは砂糖を口にしたい。でも、口にしているところが殿様の目に触れたら叱られる。それなら餡に砂糖を入れて餅に包んで雑煮にして食べよう」という農民の想いから「あん餅雑煮」が誕生したと言われます。
2009年発行の四国学院大学情報誌「インタレスト」によると、香川県でお正月に「あん餅雑煮」を食べる家庭の率は約60%。ただし具だくさんだったり、出汁の取り方が違ったりと味わいは家によって様々。
香川県の雑煮の分布でも分かるように、島嶼部と東かがわ市とまんのう町では餡入りの雑煮を食べる家がありません。塩あんはあん餅雑煮の代わりに幕府の役人に食べさせる際に作られたものですが、あん餅雑煮と共に広まっています。