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水星の軌道

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水星の公転軌道
(上)黄道から10度上方の位置から見下ろした水星の公転軌道。
(下)黄道の真横から見た軌道。

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水星の公転と自転の関係 - 水星は2回公転する間に3回自転する
水星の公転周期は約88日である。その軌道離心率約0.21は太陽系惑星の中でもっとも大きく、近日点が 約0.31 AU (46 ×106 km) で遠日点が 約0.47 AU (70 ×106 km) という、太陽を焦点のひとつとする大きな楕円軌道を描いている。公転面は地球の公転面(黄道)に対して7度の傾きがある。その結果、水星の日面通過は黄道に水星があるタイミングに限られ、平均7年に1度しか観測されない。

水星の自転周期は58日である。1965年にレーダー観測が行われるまで、水星の自転は地球の月や他の多くの衛星と同様に、太陽からの潮汐力によって公転と同期しており、常に太陽に同じ面を向けて1公転中に1回自転していると考えられていた。しかし実際には水星の自転と公転は 2:3 の共鳴関係にあり、太陽の周囲を2回公転する間に3回自転する。水星の公転軌道の離心率が比較的大きいため、この共鳴関係は安定して持続している。

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同縮尺の地球型惑星
同縮尺の地球型惑星。左から、水星、金星、地球、火星

マリナー10号

The Mariner 10 Mission

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マリナー10号
マリナー10号 (Mariner 10) は1973年に打ち上げられたアメリカ航空宇宙局 (NASA) の宇宙探査機。マリナー計画の最終機で、マリナー9号から2年後に打ち上げられ、金星および水星を探査した。人類が初めて水星を調査した宇宙探査機であり、2008年にメッセンジャーがフライバイするまでは水星に接近した唯一の探査機であった。複数の惑星を1機で探索した最初の探査機でもある。

1973年11月3日にケープ・カナベラルよりアトラス・セントール・ロケットによって打ち上げられた。探査機の目的は、金星および水星の探査である。

マリナー10号は、打ち上げ後およそ4ヶ月をかけて、何度かの軌道修正を繰り返しながら金星へ向かった。1974年2月5日には金星に5,768kmまで最接近し、紫外線フィルタを用いて金星の鉤状雲をはじめとする大気の撮影を行なった。この後、マリナー10号は金星を用いたスイングバイによって太陽を約半年(水星の公転周期の約2倍)で周回する軌道に乗り、水星へと向かった。スイングバイを使用した探査機はマリナー10号が初めてである

1974年3月29日と9月21日、1975年3月16日に、マリナー10号は水星近傍を通過した。3月29日には703km、9月21日には48,070km、1975年3月16日には327kmまで接近した。その際に、水星の写真撮影を行い、地表の4割を撮影することに成功した。また、放射温度計による計測から、昼間面の地表温度は187℃、夜間面は-183℃であることが判明した。

水星への接近後、姿勢制御用の燃料を使い果し太陽の周囲を公転するだけとなった。その後1975年3月24日まではマリナー10号の追跡は続けられた。現在もまだマリナー10号は人工惑星として太陽の周りを周回しているものと考えられる。

1973: Mariner 10 (NASA)

メッセンジャー

Nasa's Mercury mission: relive the life and work of the Messenger probe

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デルタIIロケットによるメッセンジャーの打ち上げ
メッセンジャーは、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のディスカバリー計画の一環として行われている水星探査ミッション、及び探査機の名前である。2004年8月3日に打ち上げられ、2011年3月18日に水星の周回軌道に投入されて観測が行われ、2015年5月1日に水星表面に落下してミッションを終了した。

メッセンジャー以前に水星に接近した探査機には1974年から1975年のマリナー10号があるが、表面の僅か45%しか撮影されておらず、水星は太陽系で最も探査が遅れている惑星の一つだった。水星の探査が困難な理由に、太陽から受ける膨大な熱、電磁波による通信障害、水星の公転速度が大きいことなどがあったとされる。

2000年代に入って太陽系形成の理解を深めるため、ようやく水星へと興味が注がれてきた。そして、次々に探査機を水星へ送る計画が立てられた。その1つがメッセンジャーである。

マリナー10号の調査では、水星の物理的な性質以外ほとんど分からなかったため、メッセンジャーでは水星を構成する物質、磁場、地形、大気の成分などが調査される。探査機は燃料節約のため地球、金星、水星と複数回の減速スイングバイを行いながら水星の周回軌道に接近する。その結果、地球から水星まで最短距離では約1億kmのところを、79億kmもの軌道を辿ることになる。

2014年7月25日に、初めて高度を100kmにまで下げた。8月19日には高度50kmへ、9月12日には高度25kmまで降りる予定で、25kmまで高度を下げた後は94kmまで高度を上げる予定。その後も何度か近水点高度を上げることにより、水星表面へ落下するのを2015年3月以降まで延ばす。

2015年5月1日に水星表面へ落下し、ミッションを終了した。3月から計7回のスラスタ噴射を実施して高度を上げることで落下を1ヶ月以上遅らせた。なお落下直前まで観測は行われた。

Planet Mercury - from Messenger Space Probe

木星

【惑星の旅】 木星 太陽系最大のガス惑星

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木星
木星は太陽系にある惑星の1つで、内側から5番目の公転軌道を周回している第5惑星。太陽系惑星の中で大きさ、質量ともに最大。

木星と同様のガスを主成分とする惑星(ガス惑星)である土星のことを木星型惑星(巨大ガス惑星)と呼ぶ。かつては天王星、海王星も木星型惑星に含まれていたが、現在ではこれらの二惑星は天王星型惑星(巨大氷惑星)に分類されている。

太陽系の中で、木星は太陽に次ぐ重力中心であるが、半径比は7%に過ぎない。それでもその質量は、太陽系の木星以外の惑星全てを合わせたものの2–2.5倍ほどに相当する。そのため、太陽系全体の重心は太陽の内部にはなく、太陽半径の1.068倍の位置に相当する太陽表面付近にある。

ハッブル宇宙望遠鏡による木星の新映像、NASAが公開

大赤斑

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大赤斑の遷移
大赤斑の遷移

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ボイジャー1号から撮影した大赤斑
大赤斑とは、木星に存在する高気圧性の巨大な渦である。 地上の望遠鏡で観測可能であり、ジョヴァンニ・カッシーニにより1665年に発見された。

大きさは24~40,000km × 12~14,000kmで、地球2~3個分の大きさ。雲頂高度は周囲よりも8km程度高い。赤道より22°南に位置し、反時計回りに周期6日程度で回転している。

大赤斑の渦が、マーブリングの渦が発達してできたものであるのか、台風のようなものであるのか、あるいは下層に何らかの原因が存在しているのかなど、詳しい発生原因・構造は解明されていない。

発見以来少なくとも350年以上にわたり一定の形状を維持しつづけており、あまりにも巨大な力学的エネルギーを持っているため、今後も存在しつづけるものと見られていたが、現在では年々縮小していることが明らかになっている。大赤斑の色は赤というよりもオレンジ色に近く、いつもは色が濃い中心部分にはっきりとした違いが見られない。

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木星の地図
2015年1月19日にハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された木星の地図

木星の大気

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2009~2010年の木星
2009~2010年の木星

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ボイジャー1号の木星への接近
木星の大気は、水素分子とヘリウムから構成され大気における両者の比率は太陽と同じである。メタン、アンモニア、硫化水素、水等の化学物質も少量存在する。水は大気の深くにあると考えられているが、直接測定される量は非常に少ない。酸素、窒素、硫黄、希ガスの量は太陽より3倍多い。

木星には地殻がなく、大気は明確な境界なく徐々に液体状の木星の内部に遷移していく。下限から上限に向けて、大気の層は、対流圏、成層圏、熱圏、外気圏に分けられる。それぞれの層は、温度勾配によって特徴付けられる。最下層の対流圏は、複雑な雲のシステムを持ち、アンモニア、水硫化アンモニウム、水の層で構成される。木星の地表から見える上層のアンモニアの雲は、赤道に平行な数十の帯状であり、ジェットとして知られる赤道に平行な強い風によって区切られている。帯は色が異なり、暗い帯はベルト、明るい帯はゾーンと呼ばれる。ベルトよりも冷たいゾーンは上昇気流、ベルトは下降気流に相当する。ゾーンの明るい色は、アンモニアの氷のためであると考えられているが、ベルトの暗い色の原因は分かっていない。帯状構造とジェットの起源は良く分かっていないが、2つのモデルが提案されている。浅層モデルでは、安定な惑星内部を覆う表面の現象であるとし、深層モデルでは、バンドやジェットは、水素分子から構成される木星の円筒状のマントルの深層循環が表面に表れている。

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木星のアニメーション
木星のゾーン、ベルトと渦。広い赤道ゾーン(EZ)が中央に見え、両端を暗い赤道ベルト(SEB, NEB)に囲まれている。不規則な形の大きな灰青色の「ホットスポット」が、白いEZの北端に見え、東向きに移動している。大赤斑はSEBの南にある。北半球のオーバルの周りでは小さな嵐が回転している。ランダムに表れる小さく非常に明るいものは恐らく雷嵐である。赤道に見える最も小さな構造は、直径約600km。この14フレームのアニメーションは、24木星日、即ち約10地球日を表している。時間経過は60万倍になっている。

木星の環

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木星の環
4つの環から構成される木星の環の概観

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ニュー・ホライズンズが撮影した主環の画像
木星の環は、太陽系において土星の環、天王星の環に続き3番目に発見された惑星の環である。1979年にボイジャー1号によって発見され、1990年代にガリレオによって詳細に観測された。また、ハッブル宇宙望遠鏡や地球の観測施設からも観測された。地上からの観測には、最大級の望遠鏡が必要である。

木星の環は、希薄で、主に塵の成分でできており、4つの主要な環から構成される。最も内側の"ハロ環"、比較的明るく非常に薄い"主環"、幅広で厚く希薄な外側の2つの"ゴサマー環"であり、ゴサマー環は、それぞれアマルテアとテーベ由来の塵からできており、それぞれの衛星の名前を付けて呼ばれる。

主環とハロ環は、メティスとアドラステア、その他の未発見の親天体に高速で衝突が起こった結果放出された塵から構成されている。2007年2月と3月にニュー・ホライズンズによって撮影された高精細度の画像によって、主環の詳細な構造が明らかとなった。

可視光や近赤外線では、環は赤っぽく見えるが、ハロ環だけは青っぽく見える。環の粒子の大きさは様々であるが、ハロ環以外の横断面の部分は、最も大きい約15μmの非球形の粒子で構成される。ハロ環は、恐らく1μm以下の粒子がほとんど。

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ガリレオ探査機が撮影した木星の環
ガリレオ探査機が撮影した木星の環・・・木星の夜側から撮影

シューメーカー・レヴィ第9彗星

ESA - Hubble - hst15 sl9 - Comet Shoemaker Levy Impacts, 56s

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木星に残った衝突痕
シューメーカー・レヴィ第9彗星は、1994年に木星に衝突した彗星。通常の彗星とは異なり、彗星核は長さが1分ほどの棒状に見え、棒の中に幾つかの点が光って見えた。

発見して間もなく、観測データから軌道を計算した結果、いくつかの興味深いことが判明した。木星の周りを回る軌道をとっており、彗星が惑星に捕獲される現象が実際に観測されるのはこれが初めてであった。

過去の軌道を計算すると、1917年に土星に接近し、太陽系のより内側へと軌道が変わり、1960年頃に木星に捕獲され、1992年7月には木星にその直径の1.2倍まで接近していたらしい。この木星への接近の際にロッシュ限界を突破、潮汐力によって核が砕け、少なくとも21個の破片が連なっている。核が棒状に見えたのはこのためであった。

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ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したシューメーカー・レヴィ第9彗星
彗星の分裂核は、1994年7月16日から7月22日までの間に、相次いで木星の大気上層に衝突した。これは史上初めて多数の人々が目撃した、地球大気圏外での物体の衝突の瞬間であった。

この衝突は地球から見て木星の裏側、輪郭から見て数度向こう側で起きたため直接の観測はできなかったが、衝突時の閃光が木星の衛星に反射されたものを観測するほか、わき上がるキノコ雲の観測、赤外線による閃光の観測などが行われた。観測には地上の巨大望遠鏡と、ハッブル宇宙望遠鏡やガリレオ探査機などの人工衛星が動員された。衝突痕は小型望遠鏡でも観測できたため、各地でも観測会が開かれた。撮影された写真は、衝突から数時間以内に、当時普及しつつあったWWW上で公開された。

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シューメーカー・レヴィ第9彗星の衝突痕
木星に残ったシューメーカー・レヴィ第9彗星の衝突痕

ガリレオ衛星

それでも地球は回っている・・・ガリレオ衛星と木星の自転

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木星とガリレオ衛星の合成画像 上からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの順
ガリレオ衛星は、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイによって発見された木星の4つの衛星のことを指す。木星の衛星の中でも群を抜いて大きく、ガリレオ手製の低倍率の望遠鏡でも見ることができた。現代では、双眼鏡などでも容易に観測できる。

ガリレオが初めて観測を行ったのは1610年1月7日である。ガリレオは、これらの天体の動きを数日間観測し、木星の周りを回っていることを確信した。この発見はガリレオが信じていたニコラウス・コペルニクスの地動説の裏付けの一つとなり、全ての天体が地球の周りを回っているという当時のキリスト教の世界観(天動説)に反するものであった。

ドイツのシモン・マリウスは、自分の方がガリレオよりも早く観測していたと主張した。実際、マリウスの観測 記録は1609年12月29日からはじまっているが、当時のドイツはまだユリウス暦を使っており、グレゴリオ暦に換算すると1610年1月8日となって、ガリレオよりも1日遅いことになる。個々の衛星の名称はマリウスが提案したものが使われている。

中国の天文学史家の席澤宗 (Xi Zezong) によれば、斉の天文学者・占星術師の甘徳が、紀元前364年に木星近傍の暗い星を記録しており、これがガリレオ衛星ではないかと考えられているという。そうだとすると、ガリレオよりも2000年近くも前に、望遠鏡も使わず裸眼によってガリレオ衛星を視認していたことになる。ガリレオ衛星は視等級が5-6等なので、単独であれば肉眼で見える明るさであるが、すぐ近くにある木星が非常に明るいので視認することは極めて困難である。甘徳の他に、裸眼による観測記録は知られていない。

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ガリレオ衛星
ガリレオ衛星:左からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト

イオ

Io Jupiter's Moon Globe Rotation

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イオの火山活動
イオは、木星の第1衛星。2007年までに発見された衛星の中で内側から5番目の軌道を回る。地球以外で最初に活火山が観測された天体である。

イオは火山活動を行っていることが確認された地球以外の最初の天体である。火山のひとつは噴煙を200 - 300 km上空へ秒速1 kmの速さで吹き上げていた。その他にも数多くの噴火山があり、25 km以上のサイズを持つカルデラ地形は100個以上も見つかっている。火口から噴出しているのは硫黄やナトリウムなどを含む物質と考えられ、これらは宇宙空間まで到達していると考えられている。

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イオの内部構造
イオが火山を持つ理由は、木星の強大な引力と他の衛星との軌道共鳴による潮汐力によるものとされている。木星の巨大な質量かつ木星から近い軌道を回るイオと、イオの2倍の公転周期を持つエウロパ、4倍の公転周期を持つガニメデとの位置関係によって、イオには強大な潮汐力が働いている。この結果、イオ自体に地表面が100 m程度も上下する歪みが生じ、歪みが生じる際の摩擦によって内部で熱エネルギーが発生しているためだと考えられている。また、ガリレオによる磁力計データを再解析したところ、イオの地殻下に50 km以上のマグマの海があることがわかった。イオの火山ガスは、宇宙空間に噴出され、イオの公転軌道上にプラズマ化したトーラスとして滞留している。イオプラズマトーラスは、木星オーロラの大きな発生要因の1つとなっている。

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イオ、月と地球の大きさ比較
イオ、月と地球の大きさ比較

エウロパ

【惑星の旅】 木星その2 ガリレオ衛星の驚異&エウロパの海に生命はいるのか

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エウロパの内部構造想像図
エウロパは、木星の第2衛星。2007年までに発見された衛星の中で内側から6番目の軌道を回っている。ギリシア神話のゼウスが恋に落ちたテュロスの王女エウローペーにちなんで名づけられている。

表面は少なくとも厚さ3km以上の氷で覆われており、所々にひび割れが走っている。イオの次に木星に近く、公転周期がイオの2倍、ガニメデの半分という軌道共鳴の状態にあるため、強い潮汐力の変動に晒されている。その潮汐力で発生する熱によって表面の固い氷層の下は深さ数十から百数十kmにわたって氷が融け、シャーベット状ないし液体の海になっており、地球の海洋深部にあるような熱水噴出孔も存在すると考えられている。生命が存在する可能性も示唆されている。

内部海の存在は、内部の熱的状態に関する理論的計算によって1970年代には既にそれを予想する説が出されていた。1990年代に行われたガリレオ探査機による調査では、エウロパの表面に氷が一度割れて再び固まったような地形が発見され、海の存在を強く想起させるものとして注目を集めた。

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エウロパ
エウロパ

エウロパの地形

エウロパ(字幕版) (予告編)

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エウロパ表面の模様
エウロパの表面を覆う氷は、潮汐力によるエウロパ自体の歪みのために裂け目が出来たり塞がったりを繰り返しており、「リネア(Lineae, 線状地形)」や「マキュラ(白斑)」のような独特の地形が多い。一方でクレーターは少なく、古いクレーターは侵食などによって消滅したと考えられている。

氷に覆われた海は南極のボストーク湖に近い環境であると推測され、生命が存在する可能性が指摘されている。そのような環境の生命は、地球の深海に存在する生命に近いものと推測される。エウロパにおける生命の存在は確認されていないが、水の存在は探索のための大きな動機となっている。

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エウロパの氷地殻内部の想像図
エウロパの氷地殻内部の想像図

ガニメデ

Jupiter's moon Ganymede

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ガニメデ内部構造の想像図
ガニメデは、木星の第3衛星。太陽系に存在する衛星の中では最も大きく、惑星である水星よりも大きい。ガニメデの表面を特徴付けているのが、明瞭に区切られた明暗2種類の地形である。暗い領域にはクレーターが多く、地殻変動をあまり受けていない古い地域である。一方、明るい領域には溝のような地形 (groove) が卓越しておりクレーターが少なく、暗い領域よりも後に作られた領域であると考えられる。溝地形は、表面に生じた引っ張り応力による正断層の集合と考えられるが、詳しい成因は良く分かっていない。

ガリレオ探査機による重力場などの詳細な調査の結果、ガニメデの内部は地球のようにいくつかの層を成していることが強く示唆された。21世紀初頭現在、ガニメデは中心から、金属質(金属鉄か硫化鉄)の核、岩石のマントル層、軟弱な氷の層、硬い氷の地殻という構造に分離していると考えられている。更にガニメデには磁場があり、これにより少なくとも金属核の一部は溶融していると推察される。

2015年3月12日、ハッブル宇宙望遠鏡を使ったオーロラ観測により、地下に海が存在する可能性が指摘された。ドイツ・ケルン大学のJoachim Saurのチームがガニメデを紫外線観測したところ、オーロラの揺れが本来予測されるよりも小さいことがわかった。天体内部にある導電性の液体、おそらく塩水により二次的な磁場が発生し、これが揺れを軽減していると考えられる。研究チームの推算によれば、厚さ150kmのガニメデの表層の下に深さ100kmの海があり、その水の量は地球の海よりも多いという。

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ガニメデ、月と地球の大きさ比較
ガニメデ、月と地球の大きさ比較

カリスト

Callisto Jupiter's Moon Globe Rotation

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カリスト
カリストは、木星の第4衛星。2007年までに発見された衛星の中で内側から8番目の軌道を回る。名はギリシア神話に登場するニュンペー、カリストーにちなむ。カリストは太陽系に存在する衛星の中ではガニメデ、タイタンに次いで3番目に大きく太陽系の全天体の中でも水星に次いで12番目に大きい。

カリストはエウロパやガニメデと同じく、表面全体を氷に覆われた衛星である。カリストの最上部は厚さ200 km前後の氷の層になっており、その下は未分化で一様な氷と岩石の混合物で占められていることが予想されている。木星探査機ガリレオはカリストの磁場に変動があることを発見した。これは衛星表層の氷の層の底に深さ10 km以上の閉ざされた海洋が存在し、その中でイオンが流れていると考えると説明できる。

Callisto (moon) - Video Learning - WizScience.com

アマルテア

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アマルテアのモノクロ写真、ガリレオ撮影
アマルテアのモノクロ写真、ガリレオ撮影

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ボイジャー1号が撮影したアマルテア
アマルテアは、木星の第5衛星。2007年までに発見された衛星の中で内側から3番目の軌道を回る。同様にガリレオ衛星より内側を回っている木星内部衛星群をアマルテア群と呼ぶ。1892年9月9日にエドワード・エマーソン・バーナードによって、91cm屈折望遠鏡の肉視観測で発見された。

直接の目視によって発見された最後の衛星で、ガリレオ衛星以来最初に発見された木星の衛星である。平均直径 189 kmで、いびつな形をしている。エウロパの1/15の大きさであり、木星の衛星の中ではガリレオ衛星に次ぐ5番目の大きさである。しかし、ガリレオ衛星が木星に近い内側ほど密度が大きい傾向があるのに対し、アマルテアはそれより内側にあるにもかかわらず密度は液体の水程度と測定されている。赤みがかった色をしているが、イオから噴出した硫黄のためである。イオと同じく熱の吸収より放出の方が大きい、これは木星の潮汐力により内部が熱せられるからである。

アマルテアの内部構造は、密度が低いことから氷が主体か、もしくはラブルパイル構造になっていると考えられている。木星の重力に捕らえられた小惑星かもしれない。実際、アマルテアの赤外線スペクトルは、炭素質小惑星が起源と考えられている隕石の幾つかに類似している。

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アマルテア
アマルテア

土星

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探査機カッシーニが撮影した土星
探査機カッシーニが撮影した土星

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土星と地球の大きさ比較
土星は、太陽から6番目の、太陽系の中では木星に次いで2番目に大きな惑星。英語名はローマ神話の神であるサートゥルヌスを由来とし、天文学のシンボルはその鎌を表す()である。巨大ガス惑星に属する土星の平均半径は地球の約9倍に当る。平均密度は地球の1/8に過ぎないため、巨大な体積の割りに質量は地球の95倍程度である。

土星の内部には鉄やニッケルおよびシリコンと酸素の化合物である岩石から成る中心核があり、そのまわりを金属水素が厚く覆っていると考えられ、中間層には液体の水素とヘリウムが、その外側はガスが取り巻いている。

惑星表面は、最上部にあるアンモニアの結晶に由来する白や黄色の縞が見られる。金属水素層で生じる電流が作り出す土星の固有磁場は地球磁場よりも弱く、木星磁場の1/12程度。外側の大気は変化が少なく色彩の差異も無いが、長く持続する特徴が現れる事もある。風速は木星を上回る1800km/hに達するが、海王星ほどではない。土星は恒常的な環を持ち、9つが主要なリング状、3つが不定的な円弧である。これらは殆どが氷の小片であり、岩石のデブリや宇宙塵も含まれる。

Cassini-Huygens - Saturn HD IMAX footage

土星の内部

NOW IN 4K! Saturn Cassini Photographic Animation

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土星の内部構造
土星の惑星成分のほとんどを占める水素は、密度0.01g/cm3を超えると非理想溶液となる。土星半径の99.9%においてこの密度に達する。惑星内部の温度・圧力・密度はいずれも中心に向かうに連れて高まり、内部に行くと水素は相を変えて金属様になる。

土星内部は木星と同じく小さな岩石質中心核を水素やヘリウムなどの揮発成分が取り囲んでいると考えられる。この中心核の構造は地球と似ているが、より濃密な状態になる。惑星の慣性モーメントの試算と、内部の物理的モデルを組み合わせる事で、フランスの天文学者 Didier Saumon とTristan Guillot が、惑星中心にある質量の塊をはじき出した。2004年に彼らは、中心核の質量は地球の9-22倍、その直径は約25,000kmと試算した。この核は濃い液体状の金属水素の層に覆われ、続けてその外側にヘリウムが飽和した水素分子の液体層があり、高度が増すにつれて気体へ相を変えてゆく。最も外側の層は厚さ約1000kmのガスの大気から成る。土星内部は非常に高温で、中心核では11,700Kにもなる。太陽光線の形で宇宙空間から受けるよりも2.5倍もの放射を行う。

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リングの夜側
パイオニア11号が1979年9月11日に撮影したリングの夜側。リングが黒く見える

土星の大気

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2011年に惑星規模で発生した嵐の帯
2011年に惑星規模で発生した嵐の帯

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嵐の帯を拡大
土星の外層大気は96.3%が水素分子、3.25%がヘリウム分子である。アンモニア、アセチレン、エタン、プロパン、リン化水素、メタンも土星大気中から検出された。上空に見られる雲はアンモニアの結晶であるが、下に行くと硫化水素アンモニウム (NH4SH) や水へと変わる。太陽からの紫外線は上層大気層でメタンの光分解を起こし、化学反応でつくられた各種の炭化水素が渦巻きや拡散を通じて惑星内部へ運ばれる。この光分解のサイクルは土星の季節変化の影響を受ける。

土星の大気は帯状の模様を見せるが、赤道近くで淡い幅広になる特徴を持つ。土星の細かな雲の模様は、1980年代の探査機ボイジャーが到達するまで観測された事は無かったが、その後は地球から望遠鏡を用いた観測が詳細を明らかにした。

土星に吹く風は太陽系で2番目に速い。ボイジャーの観測によると、最も速いものは偏東風で速度は1800km/hに達する。2007年、探査機カッシーニが土星の北半球で天王星のような輝く青い色の部分を発見。これはレイリー散乱によって引き起こされたと考えられた。赤外線による観測から、土星の南極点には他の太陽系天体には見られない暖かな極渦がある事が分かった。土星の表面温度は通常-185℃前後だが、この渦は暖かい時には-122℃にもなり、土星表面で最も高い気温になると考えられている。

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2009年にカッシーニが撮影した土星
2009年に探査機カッシーニが撮影した土星

北極の六角形の雲

The Huge Hexagon-Shaped Storm on Saturn | Out There | The New York Times

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六角形の中心にある雲の拡大
土星大気には、北緯78度付近で北極を取り囲む固定的な六角形の波紋があり、ボイジャーが撮影した画像から発見された。しかし強いジェット気流の存在が示唆される南極側には、極渦も六角形の波も無いことがハッブル宇宙望遠鏡の観測から明らかになっている。2006年11月にNASAは、カッシーニが南極に明らかな台風の目を持つハリケーンのような嵐が固着している事を発見した。地球以外の太陽系天体で、雲がつくる台風の目が発見されたのは初めてだった。例えば、木星の大赤斑には台風の目に相当するものが無い事は、探査機ガリレオが撮影した画像からも明らかになっている。

北極の六角形構造は、直線部の一辺が地球の直径を越える長さ約13,800km。構造全体は、放射磁気と同期すると考えられる土星の内部部分が自転する周期と同じ速度に当る10時間39分24秒で回転している。この六角形構造の動きは、大気中に視認できる雲と違い、経度に沿ったものではない。このような構造がなぜ出来上がったかについて様々な憶測がある。ほとんどの天文学者は、大気中にいくつかの定在波パターンが生じた結果というが、ある種のオーロラと考える者もいる。実験では、流体の差動回転から多角形構造を再現した例もある。

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北極の六角形の雲
北極の六角形の雲

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北極の六角形
北極の六角形の雲の拡大

土星の環

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土星の環の全景
2006年9月15日、土星食の日にカッシーニによって撮影された土星の環の全景(明るさは誇張)

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構成する粒子の径に応じて彩色した画像
土星の環は、太陽系で最も顕著な惑星の環。μm単位からm単位の無数の小さな粒子が集団になり、土星の周りを回っている。環の粒子は全て水の氷で、塵やその他の物質が少量混入している。

環からの反射光によって土星の視等級が増すが、地球から裸眼で土星の環を見ることはできない。ガリレオ・ガリレイが最初に望遠鏡を空に向けた翌年の1610年、彼は人類で初めて土星の環を観測したが、ガリレオはそれが何であるかはっきり認識することはなかった。1655年、クリスティアーン・ホイヘンスは初めて、それが土星の周りのディスクであると記述した。

密度の濃いメインリングは、土星の赤道から7000kmから8万kmの距離に広がっている。最も薄いところで約10m、最も厚いところで約1kmと推定されている。99.9%が純粋な水の氷であり、不純物としてソリンやケイ素を含む。メインリングを構成する粒子の大きさは、主に直径1cmから10m程度である。

宇宙探査機カッシーニからのデータは、土星の環は、惑星の大気とは独立した自らの大気を持っていることを示している。この大気は、太陽からの紫外線が環の氷と反応して生じる酸素分子(O2)から構成されている。氷と紫外線の化学反応は、酸素分子以外に水素分子(H2)も生成される。酸素分子と水素分子の大気は非常に希薄で、全ての大気を環に蓄積されると、1原子の厚さとなる。環には、またOH(水酸化物)の大気もある。酸素と同様に、この大気は水分子の分解によって生成するが、その原因は紫外線ではなく、エンケラドゥスからのエネルギーを持ったイオンの放出である。この大気は非常に薄いが、ハッブル宇宙望遠鏡を用いて検出できる。

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