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Channel: スチャラカでスーダラな日々
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ブルーモーメント

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BLUE MOMENT : LAKE SHIKOTSU

ブリュッセルのブルーモーメントブルーモーメントは、夜明け前と夕焼けの後の僅かな隙に訪れる辺り一面が青い光に照らされて見える現象。天気が良かった雲の無い、または全く無い空気の澄んだ日にだけ現れる。

夕焼けが赤く、日没の前から日没直後まで見られることとは対照的に、ブルーモーメントは青く、日没後の短い時間しか見ることができない。時間が経つにつれブルーモーメントの青色は暗くなり、夜の暗闇に変わる。

もともと薄明の時間が長い北欧で生まれた言葉であり、北欧諸国においては、白夜の時期は数時間にわたってブルーモーメントが見られる。日本では天気の良い日没の直後、目の前の風景が青に染まる時間が数分~10数分間ほど訪れることがある。

夕焼けとブルーモーメント
夕焼けとブルーモーメント

薄明光線

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通常とは逆に、雲の切れ間から上空に向かって光が出る薄明光線
通常とは逆に、雲の切れ間から上空に向かって光が出る薄明光線

雲の上下両方向に差す薄明光線薄明光線は太陽が雲に隠れている時に雲の切れ間や端から光が漏れ、光線の柱が放射状に地上へ降り注いで見える現象の俗称。通常とは逆に、雲の切れ間から上空に向かって光が出ることもある。地上から見た太陽の角度が低くなる早朝や夕方に見られる。美しい自然現象として、写真撮影の人気も高い。

発生条件としては、積層雲、層雲、乱層雲、巻積雲、高積雲、積乱雲など太陽光線をさえぎる厚みがあり、かつ切れ間のある雲の発生が必要。森や林では、枝葉の間から光が差して同じような現象が見られる。大気がエアロゾル状態にあり、エアロゾル粒子が比較的多く透過率が高いときに起こる。そのため、薄明光線はチンダル現象の一種と考えられている。

雲の下方に差す薄明光線
雲の下方に差す薄明光線

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反薄明光線

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赤岳山頂にて、日の入り時の反薄明光線
赤岳山頂にて、日の入り時の反薄明光線

赤岳山頂にて、上記画像の真反対の太陽光反薄明光線は、太陽が雲に隠れているとき、雲の切れ間あるいは端から光が漏れ、太陽と正反対の方向に光線の柱(光芒)が放射状に収束して見える現象。太陽の周囲にできる薄明光線とは逆。

空(天空上)での位置関係を考えてみる。地平線のすぐ上にある太陽が光の起点となり、ここから対日点(太陽と正反対の地点)に向かって光は伸びる。太陽側では光芒は広がりながら伸びるが、観測者の真上の空を境に、対日点側では光芒が収束しながら伸びる。この収束する光芒が反薄明光線である。

地上から見た太陽の角度が低くなる早朝や夕方、日の出や日没直前にしか見られない。夏ごろは雲や湿度などの条件が整いやすいとされる。太陽光線をさえぎるくらいの厚みがあって、かつ切れ間のある雲の発生が必要である。さらに、雲を構成する水滴(雲粒)よりも小さく、目に見えない水滴が多数浮遊した状態が、長い光の経路全体に分布していなければならない。

このように、条件が限られているため、反薄明光線を見つけるのは難しいとされるが熱帯の島、高い山、飛行中の航空機即ち見放しの良い条件下では比較的に観測され易い現象である。

日の出と反薄明光線を同時撮影したパノラマ写真、アメリカアリゾナ州にて9月撮影
日の出と反薄明光線を同時撮影したパノラマ写真、アメリカアリゾナ州にて

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熱帯収束帯

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Global circulation

西半球の熱帯収束帯熱帯収束帯は、大気循環の中で赤道付近に形成される低気圧地帯のこと。赤道低圧帯とも呼ぶ。

大気循環の中では、日射量の多い赤道付近で上昇気流が形成され、ここで上昇した空気は緯度20–30度の低緯度地域で下降気流となる(亜熱帯高圧帯)。このため赤道地域は低気圧、低緯度地域は高気圧となり、地上では常に赤道へ向かって吹き込む気流が形成される。この風を貿易風という。地上付近においては、熱帯収束帯の北側で北東貿易風、熱帯収束帯の南側で南東貿易風が吹く。地上から対流圏を観測すると、南北の高圧帯から常に風が吹き溜まり、常時風がこの帯域に収束しているように見えるので熱帯収束帯という名前が付いている。

熱帯収束帯の上空、対流圏界面に当たる高度12~17km付近では風速の特に強い東風が帯状に分布している(赤道偏東風ジェット気流)。この風は、熱帯低気圧やモンスーンの発生に関与していると考えられている。

熱帯収束帯上に発生している雲の帯の衛星画像、東太平洋
熱帯収束帯上に発生している雲の帯の衛星画像、東太平洋

モンスーントラフ

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7月の熱帯収束帯(赤色)と1月の熱帯収束帯(青色)の位置
7月の熱帯収束帯(赤色)と1月の熱帯収束帯(青色)の位置

熱帯低気圧の活動熱帯収束帯は地上から見た太陽の位置が南北に動くのにあわせて南北に移動する。

北半球が夏となる7月前後には、サハラ砂漠~アラビア半島~ヒマラヤ山脈付近~中国黄河流域~南西諸島~マリアナ諸島~ハワイ~メキシコ南部~中米~南米ギアナ地方に分布し、これが最北分布地域となる。この時期は日本のすぐ南の海上にまで分布している。梅雨の多雨は、熱帯収束帯から流入する高温多湿の空気の影響もある。梅雨の場合、熱帯収束帯の東風が北向きに曲げられ、亜熱帯高圧帯に割り込んで偏西風帯に流れ込んでいる。

南半球が夏となる1月前後には、ギニア湾岸~セーシェル~インドネシア~バヌアツ~フランス領ポリネシア~ガラパゴス諸島~アマゾン付近に分布し、これが最南分布地域となる。

南米アマゾンや西アフリカ付近は年間を通して熱帯収束帯となるが、インド洋や太平洋では大きく移動する。分布域をみると、陸地に沿った分布をしているようにも見えるが、これは陸地が海洋よりも暖まりやすくその分上昇気流が強いことが影響している。

このため、季節によって熱帯収束帯からはずれる地域は乾期を持つことになる。この地域は、陸上ではサバナなどの草原や疎林からなる地域が多く、サバナ気候や熱帯モンスーン気候と呼ばれる気候帯に属することが多い。一方、年間を通して熱帯収束帯のもとに置かれた地域は一年中湿潤である。熱帯雨林に覆われた熱帯雨林気候であることが多い。

ただ、熱帯収束帯は毎年同じ地域に分布するわけではなく変動があり、平年以上に熱帯収束帯に覆われると多雨になる一方、熱帯収束帯に覆われないと少雨続きで旱魃になってしまう。

季節移動する熱帯収束帯はしばしば、モンスーントラフ(monsoon trough)という気象用語で呼ばれることがある。そもそも、熱帯では天気図上に円形の低気圧はほとんどなく、代わりに細長いトラフ(低圧帯、低圧部)が存在し、これが低気圧特有の天気をもたらす。熱帯収束帯も大規模なトラフであり、数週間~数カ月にわたって停滞してモンスーンをもたらすことから、こう呼ばれている。

13/11/11 Monsoon Trough In Pacific

亜熱帯高圧帯

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中央より上が北半球の亜熱帯高圧帯。左側の北アフリカ上空は雲が無く、中央のインド付近はモンスーンのため雲が多い。
中央より上が北半球の亜熱帯高圧帯。左側の北アフリカ上空は雲が無くインド付近はモンスーンのため雲が多い

気圧帯の模式図亜熱帯高圧帯とは、緯度20–30度付近の地域に形成され、年間を通じて存在する高気圧。

日本の夏の気候に大きく影響する北太平洋高気圧もその一つである。北大西洋におけるアゾレス高気圧、南大西洋におけるセントヘレナ高気圧、南インド洋におけるマスカリン高気圧、南太平洋における南太平洋高気圧も、それぞれ亜熱帯高気圧である。

亜熱帯高圧帯は、赤道上で生じた上昇気流により大気上層に上昇した空気がコリオリの力の影響で緯度30度付近で溜まり下降気流となって形成される(ハドレー循環)。下降気流は高温で乾燥するため、亜熱帯高圧帯のもとには砂漠が形成される。代表例が、サハラ砂漠である。

季節とともに太陽の照らす地域が移動すると亜熱帯高圧帯も南北に移動し、これによって夏にのみ亜熱帯高圧帯にかかる地域は地中海性気候となる。逆に冬にのみ亜熱帯高圧帯にかかる地域は、雨季と乾季がはっきりしたサバナ気候やステップ気候となる。砂漠気候の多くは年中、亜熱帯高圧帯に支配されている。ただし、全ての砂漠が、亜熱帯高圧帯によって形成されているのではない。ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの雨陰砂漠は、湿った空気が山脈にさえぎられることが原因となっている。これらの砂漠は亜熱帯高圧帯に入らないので、仮に山脈がないとすると、砂漠になっていなかったと考えられる。

亜寒帯低圧帯

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中央よりやや上が北半球の亜寒帯低圧帯。低気圧が次々通過し、雨と晴れが交互に訪れる。
中央より上が北半球の亜寒帯低圧帯。低気圧が次々通過し雨と晴れが交互に訪れる

気圧帯の模式図亜寒帯低圧帯とは、北緯60度・南緯60度付近に形成される、周囲より気圧が低くなっている帯状の地域のことである。高緯度低圧帯ともいう。

ハドレー循環によって緯度20度~30度付近に形成される亜熱帯高気圧は暖かい空気(熱帯気団)、極循環によって両極付近に形成される極高気圧は冷たい空気(北極気団)をそれぞれ持っており、緯度60度付近の地域には、フェレル循環によってそれぞれの高気圧から性質の異なった空気が吹き出される。この空気が衝突する地域では、温度差によって低気圧が発生しやすく、低圧帯となる。

この地域には、極付近の寒冷な空気と温暖な空気との境目にできる極前線、それに次いで冷たい空気と温暖な空気との境目にできる寒帯前線、温暖で湿った空気と温暖で乾いた空気との境目にできる亜熱帯前線などが低気圧とともに現れ、地域によっては大雪、大雨、長雨などのさまざまな気象をもたらす。山脈にさえぎられて湿潤な空気が届かないモンゴルや中央アジアなどを除けば、亜寒帯高圧帯の地域は全体的に冷涼湿潤な気候である。タイガが広がるシベリアやカナダなどがその典型的な例である。

北東アジア~アリューシャン列島南方にかけてのアリューシャン低気圧、アイスランド付近のアイスランド低気圧は「低気圧の墓場」と呼ばれ、冬季は低気圧の常襲地域となり荒れた天候が続く。また、南極海でも緯度が高くなるほど海が荒れ、吠える40度、狂う50度、絶叫する60度などと呼ばれている。

亜寒帯低圧帯となる地域を見ると、偏西風と北大西洋海流の影響で、ヨーロッパの広い範囲で西岸海洋性気候となる。また、東ヨーロッパから西シベリア、北海道、カムチャツカ半島、カナダやアメリカ北部にかけて冷帯湿潤気候となる。季節風の影響で、シベリア東部は冷帯冬季少雨気候、日本の太平洋側や華中では夏に降水が多い温暖湿潤気候、日本の日本海側では冬の降水が多い温暖湿潤気候となる。

1年中常に低圧部になっているというわけではなく、年間平均で見ると現れてくる低圧部である。

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極高圧帯

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北極の衛星写真
北極の衛星写真

地球大気循環のモデル極高圧帯は北極・南極周辺の高気圧地帯である。極周辺の大気は低温であるため下降気流を生じ、地表は高気圧となる。これはちょうど赤道付近の上昇気流が低気圧の熱帯収束帯を生じるのと逆の現象である。極高圧帯の地表温度は地球上で最も低く、一年を通じて氷点下である。

極高圧帯よりも緯度が低い地帯には亜寒帯低圧帯があり、極高圧帯から亜寒帯低圧帯に向かって常に極東風が吹いている。北半球における極東風の南端は北極前線、南半球におけるそれは南極前線と呼ばれ、常に低気圧や前線が発達しやすい。北極では、ロスビー波のうねりによって北極前線が大きく南北に移動するとともに、北極振動が生じる。北極振動によって、中緯度地域では冬の寒暖が数週間単位で大きく変動する。一方、南極にも南極振動が存在するが、うねりは比較的小さい。

低温になるほど飽和水蒸気量が少なくなることから分かるように、極高圧帯の降水量は非常に少なく、極地砂漠、極寒砂漠、雪氷砂漠などと呼ばれる乾燥地帯となっている。

極地域が高圧なのは対流圏下部~中部までであり、上空8~12kmの対流圏界面付近では極渦と呼ばれる超低温の低圧帯になっている。更に上空の成層圏中部では、夏は高圧、冬は低圧という季節変化の大きい地帯になる。

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ハドレー循環

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global circulation

地球大気循環のモデルハドレー循環とは、赤道付近で上昇した空気が緯度30度付近まで北上した後、下降し地表付近を南下して赤道に戻る循環のこと。

1735年にジョージ・ハドレー(George Hadley)は偏西風と貿易風の原因として、赤道付近で暖められた空気は密度が低くなって上昇し、上空を両極に向かって移動し、冷却され密度が高くなって下降し、地表付近を通って赤道に戻るという循環を提案した。赤道付近は両極付近よりも自転速度が速いため、赤道から極に輸送された空気は地表から見ると西風(偏西風)となり、極から赤道に輸送された空気は東風(貿易風)となる。

実際の空気の流れを観測してみると赤道付近で空気は確かに上昇しているが、この空気は極までは運ばれず緯度30度付近で下降してしまう。この循環の機構はハドレーの提案したものと合っているため、この循環をハドレー循環と呼んでいる。

ハドレー循環により赤道付近には恒に上昇気流が存在し、低圧部となっており雨が多い。逆に緯度30度付近は恒に下降気流が存在し、亜熱帯高圧帯となっていて雨が少なく乾燥気候となっている。ハドレー循環と同様の機構により弱いながらも緯度60度付近で上昇して両極で下降する循環が存在する。これを極循環という。

地球の大気循環のモデル
地球の大気循環のモデル

フェレル循環

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Global Atmospheric Circulation

地球大気循環のモデルフェレル循環とは、対流圏上層の空気が緯度30度付近で下降した後、地表付近を北上して緯度60度付近で上昇し、また南下して緯度30度付近まで戻る大気の見かけの循環のこと。

太陽から地球への熱供給は赤道から極に近づくほど少なくなるため、ハドレー循環によって緯度30度付近に中緯度高圧帯、極循環によって緯度60度付近に高緯度低圧帯ができる。理論的には、赤道付近に低圧帯、極付近に高圧帯があり、赤道で温められて上昇した空気が極付近で下降する、という単純な循環によって熱の不均衡は解消されるように思えるが、実際の地球の大気はそのような単純な循環構造とはなっておらず、始めに述べたような気圧帯が発生している。この気圧帯によって引き起こされる気圧の不均衡が、フェレル循環を発生させる。

緯度20度 - 70度付近では、常に低気圧(温帯低気圧)が発生しては消滅することを繰り返している。温帯低気圧の発生や発達には、ノルウェー学派モデルとシャピロ・ケイサー・モデルの2つの種類があると考えられている。偏西風の影響で、気団から分離した高気圧や前述の低気圧は常に西向きに移動している。

ジェット気流の流路が常に変わることによって、流路が大きく曲がり高気圧が分離して長い期間同じ場所にとどまることがある。このうち大きなものはブロッキング高気圧と呼ばれ、ほかの低気圧や高気圧の西への移動を妨げるために異常気象を引き起こしやすい。また、低気圧が分離され長期間にわたり同じ場所にとどまることもあり、これはカットオフロー(切離低気圧)と呼ばれる。

地球の大気循環のモデル
地球の大気循環のモデル

極循環

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WHAT IS A POLAR VORTEX ? BBC NEWS

地球大気循環のモデル極循環とは、緯度60度付近で上昇した空気が対流圏上層を極付近まで移動し、極付近で地表付近に下降し、緯度60度付近まで戻る大気の循環のこと。

北極や南極付近は太陽高度が低く、太陽エネルギー(熱)の供給が地球上で最も少ない。そのため、極付近では冷やされた空気が下降して地表付近に集まり、極高圧帯となる。すると、上空では気圧が下がる。より緯度の低い地域から熱が運ばれてくるために、緯度60度付近で上昇した空気が上空6~10km付近の対流圏や成層圏を北上して、気圧の低い極付近の上空に集まってくる。この低気圧を極渦という。南極は大陸が広がっており、周囲は海で大気の流れを遮る山脈が少ないため、極渦が安定している。一方、北極は周囲に大気の流れを遮る山脈が多いことによりロスビー波が発生して渦を崩してしまうため、極渦は安定していない。

地上では、極高圧帯から高緯度低圧帯に向かって風が吹く。これは自転の影響で東寄りの極東風となる。吹き出した寒気は暖気と衝突して寒帯前線をつくる。極高圧帯は非常に気温が低いため、寒帯前線をつくる暖気と寒気の温度差が非常に大きく、低気圧が発達しやすい。

極渦が安定している南極上空では、最も寒い冬季には気温が約-90C°まで低下する。そのため、硫酸や硝酸などからなる極成層雲(極成層圏雲)が発生する。この硫酸などが塩素と反応し、オゾンが分解されてオゾンホールができる。日射量が増える9月~10月ごろは最もオゾン層の破壊が進む時期である。北極上空の気温は極成層雲が発生できる温度まで低下しないので、オゾンホールはできない。

Polar Vortex

オゾン

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オゾン
オゾンの模式図

オゾンの化学式オゾン(ozone)は、3つの酸素原子からなる酸素の同素体である。分子式はO3で、折れ線型の構造を持つ。腐食性が高く、生臭く特徴的な刺激臭を持つ有毒な気体である。大気中にもごく低い濃度で存在している。

常温常圧では薄青色の気体である。沸点-111.9 ℃ (161.25 K) で紺色の液体となり、凝固点-197.2 ℃ (75.95 K) で濃紫色の固体となる。中心の酸素原子と両端の酸素原子の結合は2本とも等価であり、オゾン分子は O=O+-O- と O--O+=O の2つの極限構造からなる共鳴混成体であると考えられる。オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持つため、高濃度では猛毒である。吸い込むと内臓が酸化され糜爛(びらん)状になる。

オゾンはフッ素に次ぐ強力な酸化作用があり、殺菌・ウイルスの不活化・脱臭・脱色・有機物の除去などに用いられる。日本とアメリカ合衆国では、食品添加物として認可されている。

水道水の殺菌に塩素の代わりにオゾンが用いられる国も多い。オゾンは有機塩素化合物を生成しないため、処理後の水にも残留せず、塩素と比較して味や匂いの変化が少ない。従って、いくつかのシステムでは配管での細菌増殖を防ぐために少量のオゾンを添加することがある。日本では近年、東京都水道局や大阪市水道局で水道水の殺菌の一環として用いられており、追随する自治体も増えてきている。

気体としてのオゾンは、その毒性により高度な濃度管理が求められるため、オゾンガスをミキシング又はバブリングと呼ばれる手法で水に溶け込ませたり、電気分解により水に含まれる酸素を利用して作る「オゾン水」として活用される例が増えている。オゾンの不安定な性質により数十分で酸素と水に戻るので残留性のない殺菌水として使えるほか、塩素系殺菌剤やエタノール系殺菌剤が使えない場合にも使用される。

ヨーロッパでは医療への活用が多数試され、その効果が発表されている。近年は日本でも医療、介護、食品、酪農を主とする農業などの分野で殺菌・消臭・廃棄物処理目的で使われることが多くなった。

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ヒールオゾン

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夢の扉「歯周病を退治する不思議な泡の秘密」オゾンナノバブル水 1/3

ヒールオゾンヒールオゾンは歯科のう蝕治療とう蝕予防及び根管治療のためにドイツのカボ社が販売している装置である。う窩にヒールオゾンを照射することにより、10秒の照射で99%の細菌が殺菌できる。オゾンが効果を及ぼすのは表面から2mmの範囲である。殺菌作用以外に、オゾンの強力な酸化作用による化学反応で、軟化象牙質のpHを酸性からアルカリ性に換え、歯質を固くする事ができ、それを基質にしてフッ素、リカルデント等を併用して象牙質の再石灰化が促進するものである。ヒールオゾンの照射で軟化象牙質は照射前と比べて削除しやすくなる。

う窩の深さが2mmに達しないごく初期のう蝕の場合、歯質の削除を行わず治療を完了できる。また、う窩が深い場合は、可能な限りう蝕部分のみを削り取りヒールオゾンで消毒、歯質強化したのちに充填する。削除量が少ないために多くの場合麻酔が不要である。治療コンセプトはMI (Minimal Intervention) である。また、う蝕の治療だけでなく予防にも応用が可能である。根管治療に対しても、高い殺菌力により応用できるとされている。

ヒールオゾンのメリット
・殺菌することでう窩の自然治癒を期待するという治療法は従来の治療より生体に優しい
・麻酔や削合がないため、歯科不安の患者でも楽に治療を受けられる
・ヒールオゾン治療で大幅な治療時間の短縮とコストの削減が可能になったという報告がある

夢の扉「歯周病を退治する不思議な泡の秘密」オゾンナノバブル水 2/3

夢の扉「歯周病を退治する不思議な泡の秘密」オゾンナノバブル水 3/3

オゾンの発生

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オゾン層形成
オゾン層形成

高度(縦軸:km)とオゾン濃度(横軸:ドブソン単位)のグラフ。地上付近の高濃度帯は光化学スモッグの影響を反映したもの。縦長の帯は各波長帯における紫外線の透過度。右図は高度(縦軸:km)とオゾン濃度(横軸:ドブソン単位)のグラフ。地上付近の高濃度帯は光化学スモッグの影響を反映したもの。縦長の帯は各波長帯における紫外線の透過度。

成層圏中では、酸素分子が、太陽からの242nm以下の波長の紫外線を吸収して光解離し、酸素原子になる。この酸素原子が酸素分子と結びついてオゾンとなる。また生成したオゾンは320nm以下の波長を持つ紫外線を吸収し、酸素分子と酸素原子に分解するという反応も同時に進行する。

酸素分子の密度は、空気の密度に比例するので高度が高くなるほど低くなる。他方、酸素分子が吸収する紫外線は、太陽入射光の強度に比例するため高度が高いほど強い。オゾン生成はこれら高さと共に増大する量と減少する量の両方に依存するので、オゾン密度はある高度で極大となり、成層圏中部の20~30km付近がそれにあたる。

ブリューワー・ドブソン循環

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年平均のブリューワー・ドブソン循環
年平均のブリューワー・ドブソン循環。左目盛りは、下目盛りは緯度(-は南緯)、色はオゾン濃度

ブリューワー・ドブソン循環とは、成層圏下部で起こる大気循環のことである。成層圏循環、成層圏子午面循環、子午面循環ともいう。

赤道付近の緯度の対流圏界面付近から、南北両半球の中緯度に向かって流れる。また、南北両極から中緯度に向かってもう1つの流れがある。高度10km~30km付近で起こっている。熱帯上空で生成されたオゾンを極に輸送していると考えられている。ただし夏になっている極の上空では上昇流、冬になっている極の上空では下降流を伴い、それぞれ中層大気の冬半球向き循環とつながっている。

アラン・ブリューワー(Alan West Brewer)が1949年に水蒸気の移動パターンから、ゴードン・ドブソン(Gordon Dobson)が1956年にオゾンの移動パターンから、それぞれ発見した。

オゾンは主に、日射量の多い赤道上の熱帯成層圏下部で最も活発に生成されている。生成されたオゾンは赤道から両極に向かうブリューワー・ドブソン循環によって高緯度の成層圏に運ばれるので、中・高緯度地域の方が熱帯地域よりもオゾンが多くなる。

ブリューワー・ドブソン循環は成層圏下部にあたる高度20km付近で1年中続いているため、オゾン輸送は年中途切れない。しかし、冬に当たる成層圏には極付近に極渦というジェット気流帯があり、その南北をまたぐ熱や物質の輸送が起こりにくいので、熱の輸送が遮断されて低温になり、南極では冬の間に大量の極成層圏雲(PSC)が生成される。春~初夏にかけて、この氷の雲が融解すると同時に塩素原子が大量に発生する。PSCの表面ではオゾンの分解反応が促進され、オゾン濃度が急低下し春季にオゾンホールが発生する主因となる。一方、北極ではロスビー波の影響で極渦が南北に乱されるため、PSCの生成に至るほど気温は低下せず、オゾン濃度の低下も起こりにくい。
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