東京オリンピックの開会式は大会初日の10月10日土曜日に国立霞ヶ丘陸上競技場で行われた。開会式前日に台風が接近したが、当日は秋晴れに見舞われた。開会式は昭和天皇・香淳皇后を始めとする皇族が臨席し、内閣総理大臣:池田勇人など日本国政府要人や国際オリンピック委員会幹部が出席して行われた。
オリンピック・マーチ(古関裕而作曲)の高らかな演奏にのせて、選手が入場した。オリンピック発祥の地であるギリシャを先頭にアルファベット順に入場し、最後は開催国の日本が入場した。「オリンピック・マーチ」は日本選手団の入場の際にもう一度改めて最初から演奏され、多くの人々に感銘を与えた。この大会に合わせて結成された東西ドイツ選手団は、交響曲第9番および旧友にあわせて合同入場行進した。旗手と選手団の前を、国名を書いたプラカードを防衛大学校学生が持って先導した。
開催国の元首である昭和天皇は、ギリシャ選手団の入場から日本選手団の入場まで起立し通しでこれを迎えた。また一般客や招待された各国の外交団は、日本選手団入場の際に開催国の選手団に敬意を表するために全員起立し選手団を迎えた。
聖火の最終ランナーが坂井義則に決まった理由は、広島への原爆投下の日の1945年8月6日に広島県三次市で生まれ陸上選手であり、その平和の象徴として選ばれた。聖火台に点火した。
この開会式の模様は、日本ではNHKをはじめとするテレビ・ラジオ全局で生中継された。特に海外でもシンコム3号を利用して全世界に衛星生中継され、アメリカではNBC、イギリスではBBCで放送された。
この当時、放送用ビデオテープは非常に高価なものであったが、この開会式の模様はビデオテープにカラーで録画され、NHKアーカイブスにはその映像が現存している。テレビの中継を担当したNHKの北出清五郎アナウンサーは冒頭で「世界中の青空を全部東京に持ってきてしまったような、素晴らしい秋日和でございます。」 の名言があった。