ムックリは、アイヌ民族に伝わる竹製の楽器。口琴と呼ばれる楽器の一種。
竹製の薄い板(弁)に紐がついており、この紐を引っ張る事で弁を震動させて音を出し、これを口腔に共鳴させる。音程はほとんど一つの音高から変わらないが、口の形を変えることにより共鳴する倍音のフォルマントを変化させて音楽表現とする。
映画『ゴジラ』の音楽で知られる作曲家の伊福部昭は幼少時にアイヌ集落へ頻繁に出入りしていたが、ある時アイヌの少女がムックリを演奏しているのを見て自分も習いたいと申し出たところ、「ムックリは女の演奏する楽器だから駄目だ」と笑われ断られたという。ただし集落によっては必ずしも女性のみといった性別制限の習慣はないものとされる。