空知管内長沼町中心部から車で10分の馬追山中腹の雑貨店「カントリーバーン」。アイヌ民族の伝統弦楽器「トンコリ」作りを始めて13年になる恵庭市出身のトンコリ職人、二宮規一さんが、工房で真剣な表情で新作の仕上がり具合に目を光らせた。
トンコリとの出会いは39歳。脱サラし、幼少時から夢だった家具職人になって、4年になるころ。トンコリ奏者OKIさんが偶然工房に立ち寄り、演奏を聞かせてくれたのがきっかけだった。深みのある素朴な響き、形と音色に心を奪われた。
トンコリの素材はエゾマツやホオノキ、弦にはかつては動物の腱やイラクサの繊維をより合わせた物が用いられていた。現在は、三味線の弦を使う。
樺太アイヌの伝承者からただ一人1960年代に直接指導を受けた邦楽家の富田友子(歌萌)が講演・演奏活動を続けている。彼女以外に伝承者から直接指導を受けた演奏家はおらず、彼女の弟子筋でなければ録音からの独自の復元演奏もしくは想像による演奏である。
1990年代以降、北海道や関東のアイヌの団体や個人によって演奏されることも多くなっており、演奏者が増えつつある。有名なトンコリ奏者としてはOKIが居る。