アイヌ民族は、アイヌモシリ(北海道・樺太・千島列島など)と呼ばれる北の大地に一万年以上に渡って暮らし、独特の文化を築いてきた先住民族です。
アイヌ文化と聞いて、まず「アイヌ文様」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。懐かしいようでもあり、新鮮な気もする、特別な魅力を持ったアイヌ文様。その起源や意味について、詳しいことはまだ研究途上にありますが、文様には魔除けの呪力があると信じられていたことはわかっています。
アイヌの子供たちは幼い頃から文様を描く練習をし、大きくなると男性は彫刻、女性は刺繍の技術を磨いて生活のあらゆるものにアイヌの伝統文様を施しました。
江戸時代後半、民衆の間にも木綿が普及するようになると、アイヌ民族の間でも木綿で着物が作られるようになります。
木綿布はアイヌ語でセンカキ。獣や魚の皮に比べて加工しやすい木綿布に出会うことで、刺繍技術の可能性はぐんと広がることになります。