西之島は4000m級の山体をもつ海底火山の火口縁がわずかに海面上に現れた部分にあたる。かつての西之島(旧島)は面積0.07㎢、南北650m、東西200mの細長い島だった。この海底火山は噴火の記録はなかったが、1973年に有史以来初めて噴火し、大量の溶岩流や噴出物が海面上まで堆積して西之島付近に新しい陸地を形成した。この陸地は「西之島新島」と命名され、当時は「新島ブーム」とマスコミに報道され、大きな話題となった。
1年に及ぶ噴火が収束すると、新島は南側からの波で強い侵食を受け、最初の数年は年間 60~80mの速さで海岸が後退した。新島は波で削られて失われ、火孔や標高52mの丘も消失したが、削られた土砂が波で運ばれて湾内に堆積した。堆積の速さが侵食を上回ったため、侵食されながらも面積が増加した。1982年には湾の一部が海から切り離されて湖になり、1980年代を通して堆積を続け、1990年頃には湾口は無くなり完全に一体化、旧島北端を頂点とした、釣り鐘のような四角形状の島になった。形状が安定すると面積は減少に転じ、1999年時点での新島部分の面積は0.25㎢、最高標高は15.2mである。また、旧島部分を含めた西之島全体の面積は0.29㎢、最高標高は25mであった。