ふぐ刺しはフグの身の刺身のこと。ふぐの肉の特徴は、繊維質である。普通の刺身では弾力がありすぎて噛み切ることが難しい。このため、切り身が透けて見えるほどの「薄作り」で身を細く包丁で引いて刺身にする。この包丁は「ふぐ引き包丁」とよばれる特殊なものを使用する。ふぐ刺しに使われるフグ肉は、フグを〆てから布を被せて丸1日から2日程度寝かせる。これにより肉が熟成される。
ふぐ刺しの盛り方として、大きい円形の皿に刺身を平たく円盤状に満遍なく盛り付ける、「べた盛り」が一般的。盛り方に工夫を凝らし、見た目にも楽しめるようにした「鶴盛り」、「菊盛り」、「孔雀盛り」、「牡丹盛り」などという盛り方もある。切り身は、箸ですくってポン酢で食べる方法が一般的である。また、薬味としてもみじおろしなどや葱も好みで使用する。湯引きした後、氷水で冷やし細切りにしたフグの皮が添えられていることもある。