新元号が「令和」に決まり、安倍晋三首相は「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」と説明した。
この新しい元号についての分析を、国語辞典編纂者で「三省堂国語辞典」編集委員の飯間浩明さんがTwitterに投稿し話題になっている。飯間さんは、新元号が発表された瞬間、その「音」に驚き、美しさに感心したと話す。
飯間さんによると、ラ行音ではじまる言葉は大和言葉に存在しなかった。古事記、万葉集などの和歌を見ても、最初にラ行音が来る単語はない。現在もその名残があるという。例えば、しりとりでラ行音のつく言葉は少なく、ほとんどが外来語である。
語頭のラ行音が日本にもたらされたのは、中国から漢字伝わってきたときだ。以来、大陸から渡ってきた漢字の音読みとして「ラリルレロ」が使われるようになった。「礼儀」「利益」などは音読みだ。
また、江戸時代以降に外来語が輸入され、再びラ行音のつく言葉が広まった。英語やフランス語など欧米諸国では「R」や「L」ではじまる言葉が一般的に使われているからだ。「ラテン」「レモン」「レール」などがそれにあたる。
「日本語で『ラ行』からはじまる言葉は今だに少なく、電話の『リンリン』のような擬音ぐらいしか見当たりません」。語頭のラ行は海外からもたらされた新しい音。新しさの象徴なのだ。