鶴見の御本山では、毎年寒の入りから節分間際まで寒行托鉢を行います。晩課が終わると、香積台の玄関に集合し、そこで大黒尊天にむかって般若心経を読経します。読経が終わると修行僧たちは、長く2列になって本山を後にします。
鶴見の街の繁華街を黒い衣に手甲脚絆をつけて網代傘をかぶり、右手に鈴、左手に頭鉢を携えた修行僧たちが整然と練り歩きます。歩きながら鈴を鳴らし、般若心経の一節を大きな声でゆっくりと繰り返し唱えます。その様子を聞いて、街の人々は家の外に出て浄財を布施します。
托鉢は、2500年以上も前のお釈迦様の時代から続く仏教の伝統行事の一つです。このような伝統文化は、人々の精神を豊かにしてくれます。托鉢している修行僧の姿が違和感なく受け入れられるような街並みこそ、本当に成熟した社会の街並みではないでしょうか?