「なまはげ」は怠惰や不和などの悪事を諌め、災いを祓いにやってくる来訪神である。かつては小正月の行事だったが大晦日の行事となり、年の終わりに、大きな出刃包丁を持ち、鬼の面、ケラミノ、ハバキをまとって、なまはげに扮した村人が家々を訪れ、「悪い子はいねがー」「泣ぐコはいねがー」と奇声を発しながら練り歩き、家に入って怠け者、子供や初嫁を探して暴れる。
家人は正装をして丁重にこれを出迎え、主人が今年1年の家族のしでかした日常の悪事を釈明するなどした後に酒などをふるまって送り返す。
秋田県全体の3%に満たない男鹿半島の、年一回しかない「なまはげ」は今や、秋田県全体の記号として用いられるまでの知名度を持つようになっている。しかし、男鹿半島での伝統は、地元自治体が補助金を出して下支えしなくてはならないほどの衰退傾向を見せている。
また、本来の「来訪神」と無関係な上、異形を誇張しただけの「鬼」化した多数の平面像ならびに立体像が乱造され、あるいはキャラクターとしてデフォルメされたグッズが氾濫し、顕著に「観光」化されている。
本来、地区の未婚の男性がなまはげを務めるのが習わしだったが、高齢化と地区の人口減により担い手の若者が減ったため、既婚男性や高齢者、さらには帰省中の親族など地区外の者が務める例も見られるようになった。
また、なまはげの主な訪問先である子供がいる世帯が少子化により減少しているため、実施する動機の減退もみられる。その他、年末年始に仕事があったり、旅行などで不在だったりと住民の生活の変化もなまはげの衰退の要因になっている。
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