金星の太陽面通過は、セットで8年離れた日に起きる。これは地球の8年の長さが金星の13年の長さと殆ど同じで、8年ごとに金星と地球は同じ位置になる。この近さはセットで太陽面通過を起こすには充分だが、三回連続する太陽面通過を起こすには不充分である。
2004年6月8日と2012年6月6日には、金星の太陽面通過が起こる。
しかし8年後の2020年6月3日には、18時50分頃(UTC)に金星が太陽の中心まで約0.5度(太陽の視直径とほぼ同じ)まで近づくだけに終わり、太陽面通過は起こらない。対で起こらなかった直近の太陽面通過は1153年に起こった。2733年と2741年は対で起こる。2846年は周期4が金星が太陽面から僅かに離れるので対で起こらない。
2611年には、金星は地球の中心から見ると僅かに太陽を外れるが、太陽面通過が南半球の一部から見られる。南米ペルーの首都リマより北では、金星が太陽の縁に接しながら太陽面を通過する。2854年もシュミレーションしたが、南極点で観測してもギリギリ太陽の縁を離れていて地球上で金星の太陽面通過を見ることはできない。 右上は、1882年12月6日に世界で初めて撮られた金星の太陽面通過の写真。
この経路図をよく見ると、金星が太陽面を通過するおおよその時間が分かります。特に太陽中心点を通過した西暦424年11月23日は、世界時間の19:01に第一接触を迎えて19:17には第二接触を迎えました。23:05に最大接触…つまり太陽中心点を通過して2:54に第三接触を迎え、3:10に第四接触が終わります。日本では全ての経過が見られたようですが、減光フィルターもないような時代に観測した方はいないと思います。この時代は約8時間もの間、金星が太陽面を通過していました。
逆に周期4の最期となる西暦2611年12月13日は、世界時間の12:04に第一接触を迎えて13:07には第二接触を迎えます。13:34に最大接触…つまり経路上の太陽中心点を通過して14:01に第三接触を迎え、15:04に第四接触が終わります。第一接触と第二接触、第三接触と第四接触の時間が1時間ほどと長いのですが、これは太陽の縁に近いところを金星が通過するので縁を斜めに通過するように見えることから太陽との接触時間が長くなります。この時代は約3時間ほどしか、金星が太陽面を通過しないようです。
西暦2611年12月13日の金星の太陽面通過をシュミレーションすると、南米ペルーの首都リマより北では金星が太陽の縁に接しながら太陽面を通過します。残念ながら日本では夜のため、この現象を確認することができません。南アフリカのケープタウンでは、午後からの現象となります。その首都プレトリアより東では、金星の太陽面通過が終わる前に日没を迎えます。
ところで金星の太陽面通過に用いられる周期の名称ですが、日食で用いられるサロスのような固有名詞はありません。強いて言えば、Transit Series 4となるのでしょうか?
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