金鵄(きんし)は、『日本書紀』に登場する日本建国を導いた金色の鵄。『日本書紀』の記述では、初代天皇となる神武天皇が長髄彦と戦っている際に、金色の霊鵄が天皇の弓に止まると、その体から発する光で長髄彦の軍兵たちの目がくらみ、天皇軍が勝利することができたとされる。この霊鵄を指して「金鵄」と呼ぶ。
神武東征の際、熊野から大和へ天皇の軍を道案内した八咫烏と混同されることが多い。金鵄と八咫烏が同一であるか、それとも別の存在であるかはっきりしないが、いずれにしろ日本建国に関わった霊鳥として、吉事や勝利あるいは建国の代名詞として使われ、特に明治期は多くの商品・企業名などにも使用された。
金鵄は戦わず光威徳で敵を降伏せしめた日本神話から、大変に縁起が良いとして明治以降、商品などに使用された。特に日本酒に多く、造り酒屋の金鵄盃酒造やキンシ正宗の「金鵄正宗」などがある。これらは、金鵄に化身したとされる賀茂一族の神社、賀茂御祖神社に献上されている。