唐塗は津軽塗の代表格であり、現在最も多く生産されている。 唐塗独特の複雑な斑点模様は、何度も塗っては乾かし、そして研ぐという作業を繰り返し、 全部で四十八の工程から生み出される。完成までには最低でも一ヶ月半~二ヶ月を要する。
津軽塗の技法において唐塗の歴史は長く、正徳五年(一七一五年)には既に「唐塗之御文箱~」と書かれた記録が見受けられる。 「唐塗」という名は、もともと中国からの輸入品を唐物と呼んでいたことに由来する。 「優れたもの」、「珍しいもの」いう意味で、当時の社会風潮を反映して「唐塗」と命名されたものと思われる。
唐塗の文様の基礎を作る道具を仕掛べらと呼び、これによって凹凸が生まれる。 仕掛べらによる絞漆の凸模様を基本として塗膜面に現われる模様を「唐模様」といい、 唐模様を主体にして仕上げられた漆器類を「唐塗の塗物」や単に「唐塗」と呼んでいる。
津軽塗の塗模様より抜粋