大気によって歪んだ月の上縁に、かすかな緑色の光が現れた。地平線に沈む月や太陽でごく稀に発生する「グリーンフラッシュ」という現象である。南米チリのアタカマ砂漠にあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLT付近で撮影された。 地球の大気はプリズムのように光を屈折させる。また、地表近くの密度が高い大気層では、波長の短い光ほど屈折率が大きくなる。そのため、オレンジや赤より波長の短い緑色の光の方がわずかに高い位置に現れ、太陽や月の上縁に見ることができる。
大気層の温度差(密度差)によっては、屈折した光が蜃気楼を発生させることがある。この蜃気楼により、地平線に沈む月の上縁に緑色の光がほんの一瞬輝いて見える。