マトリョーシカ人形は、ロシアの民芸品の人形である。単にマトリョーシカともいう。
胴体の部分で上下に分割でき、中には少し小さい人形が入っている。これが何回か繰り返され、人形の中からまた人形が出てくる入れ子構造になっている。入れ子にするため腕は無く、胴体とやや細い頭部からなる筒状の構造である。5-6重程度の多重式である場合が多い。
マトリョーシカという名称は、ロシアの女性名からきている。それぞれの人形にはスカーフ姿の若い女性の像が描かれているのが本来であるが、レーニンをはじめロシア・ソ連の歴代指導者が描かれたものや、動物など人間以外のものが描かれたものなど、絵柄は各種に広まっている。日本にもマトリョーシカ人形と同じ作りで、だるまなどの入れ子人形がある。
1900年のパリ万国博覧会で銅メダルを受賞したのを機会に、ロシア帝国各地でいろいろなマトリョーシカ人形が作られるようになり、ロシアの民芸品、みやげ物として知られるようになった。マトリョーシカの第一号が飾られているセルギエフ・ポサード(旧・ザゴルスク)の博物館には「日本に教わった」という縁起が記されており、隣にはモデルとなったとされている箱根七福神の入れ子人形も展示されている。