ボロブドゥールの構造は、仏教の三界をあらわしているとされる。つまり、下から、基壇は人間のいる欲界、その上は神と人間が触れあう世界である色界、さらに、その上部が神のいる無色界である。
欲界 - 淫欲と食欲の2つの欲望にとらわれた有情の住む処。六欲天から人間界を含み、無間地獄までの世界。
色界 - 欲界の2つの欲望は超越したが、物質的条件(色)にとらわれた有情が住む世界。
無色界 - 欲望も物質的条件も超越し、精神作用にのみ住む世界であり、「禅定」に住している世界。
ボロブドゥールでは、基壇が欲界、方形壇は色界、円壇は無色界として表現されており、人は下から上へ登っていくにつれ、欲望にあふれ罪悪に満ちた世界から、禅定に達した世界へと移っていくものとされる。すなわち、悟りをめざす菩薩の修行を表現しているとみなすことができる。