ルナー・リコネサンス・オービター (Lunar Reconnaissance Orbiter, LRO) は、アメリカ合衆国の月周回無人衛星。アメリカは2004年に新宇宙政策を発表し、2020年頃の有人月探査実施、その先の有人火星探査の検討に着手すると宣言した。LROはその政策に沿ったアメリカの月への動きの具体的な第一歩となる。
LROは月面からの高度50kmの極軌道を周回。搭載されたカメラ(LROC)は最高で50cmという驚異的な解像度を誇り、科学的探査よりは、有人月探査に向けた着陸点選定のための基礎資料収集といった将来的な探査に向けた情報収集を狙う。
2009年7月11~15日にかけて、アポロ計画の着陸地点を撮影し、アポロ11号、14号、15号、16号、17号の着陸船や足跡などの写真を撮影することに成功した。この写真はまだ軌道修正中の時期に撮影したため、解像度は1mとなっている。9月30日にはサーベイヤー1号の着陸地点を撮影し、探査機の撮影に成功した。
2010年9月7日、月面において初となる「天然の橋」の確認・撮影に成功。公開された画像は、一方のくぼみから入って橋の下を通過した光が、他方のくぼみの底に映っているものである。クレーターを形成した隕石の衝突熱で岩が溶解して形成されたものと考えられている。
2011年9月6日、NASAはLROのLROC(LRO Camera)で撮影したアポロ12号、14号、17号の着陸地点の写真を公開。高度を50kmから21kmにまで下げて撮影したため、2009年7月に撮影した写真よりも解像度が高い写真が得られた。この写真には、宇宙飛行士が月面探査の際に残した足跡や、ムーンバギー(月面探査車)が残した平行な2本線の轍の軌跡、月面に残してきた観測装置ALSEP(Apollo Lunar Surface Experiments Package)が写っていた。