米航空宇宙局(NASA)は2015年12月18日、月探査「ルナー・リコネサンス・オービター」(LRO)が撮影した、美しい「満地球の出」の画像を公開した。
全面に光が当たって輝く地球(「満地球」と呼ばれる)が月の地平線から昇ってくる光景は、息を呑むほど美しい。画像には大西洋を中心に、アフリカ大陸や南米大陸などが見えている。
このような「満地球の出」は、月を周回する衛星からしか見ることができない。たとえばアポロの宇宙飛行士のように月面上に立つと、地球は絶えずほぼ同じ位置に見えることになる。
この画像は、LROに搭載されているナロー・アングル・カメラ(NAC)とワイド・アングル・カメラ(WAC)によって撮影された複数の画像を合成して作られた。NACは高い解像度の画像を撮ることができるが、白黒でしか撮影できない。一方、WACは低い解像度ではあるものの、カラー画像を撮影することができる。この両者の特性を活かし、NACで撮影された画像に、WACの色情報を付け足すことで、この美しい画像は作成されたという。
NROは2009年に打ち上げられた月探査機で、最高で50cmという高い分解能のカメラを使い、月面を詳細に探査することを目的としている。これまでに月面の地形など、詳細な地図の作成や、月の永久影の探査などで活躍し、またアポロ計画で月に着陸した宇宙船の残骸や、宇宙飛行士が月面を歩いた足跡なども撮影している。