「ニューホライズンズ」による冥王星の観測データから新たに、幅数十km、高さ数kmという巨大な山が2つ見つかった。どちらも氷火山とみられている。おそらく地質学的な意味で最近まで活動していたと考えられ、火口からは水の氷や窒素、アンモニア、メタンなどの混合物が噴出すると推測されている。
「氷火山というのはまだ仮説に過ぎませんが、もし本当にそうなら、頂上にあるくぼみは地下から噴出した物質が崩れてできたもののはずです。一風変わった山の側面にある輪状地形は、ある種の火山流によるものかもしれませんが、なぜ輪状なのか、一体どんな物質で構成されているのかは不明です」(研究チーム Oliver Whiteさん)。
ニューホライズンズ・ミッションは、魅力的な冥王星の衛星とその変わった特徴にも光を当てている。たとえば、月を含め太陽系内のほぼすべての衛星は自転と公転が同期しているが、カロンを除いた冥王星の4つの小衛星は自転のほうがはるかに速いことがわかった。最も外側の衛星ヒドラは、冥王星の周りを一公転する間に89回自転する。また、カロンの影響で小衛星の自転速度が変化するとも考えられている。
更に4衛星のうちいくつかが、2つ以上の天体の合体から生まれたこともデータから示唆されている。「冥王星は過去にもっと多くの衛星を従えていたのではないかと思われます。大きな衝突の結果、カロンが作られたのでしょう」(SETI研究所 Mark Showalterさん)。
新データからは、冥王星の上層大気が著しく冷たくコンパクトで、冥王星の大気が宇宙空間へ逃げ出す割合は従来の説より3桁以上も低いこともわかった。冥王星からの大気散逸プロセスは彗星に似ていると考えられてきたが、地球や火星で起こっているメカニズムと同じであるようだ。