探査機「ニューホライズンズ」の冥王星最接近から15分後に撮影された高解像度の画像が公開された。冥王星のすぐそばにいると錯覚しそうなほどの迫力で、凍った山々や窒素の氷河、低く幾重にもたなびく「もや」などが見えている。地球の水循環に似た現象が冥王星でも起こっていることがわかる。
2015年7月14日に冥王星に最接近した探査機「ニューホライズンズ」は膨大な撮影データを少しずつ地球に送信中で、今回公開された画像は2015年9月13日に地球に届いたデータから作成されたものだ。冥王星の明暗境界付近に広がる様々な地形が圧倒的な迫力で写しだされており、地表付近から100km以上の上空まで10層以上にも分かれている層状の「もや」もはっきりと見える。
巨大なスプートニク氷原の東側にある明るい領域は、窒素の氷で覆われていると考えられている。スプートニク氷原の表面から氷が蒸発し、それが東側に蓄積したようだ。別の画像からは氷に覆われた領域から氷原に向かって氷河が流れ込んでいることも明らかになっており、その流れ方はグリーンランドや南極大陸の氷冠の縁に見られるものに似ている。地球では海水が蒸発して雪となって降り、さらにそれが氷河の流れとなって海へ戻るという水の循環があるが、冥王星では窒素が循環しているとみられる。