ガニメデは、木星の第3衛星。太陽系に存在する衛星の中では最も大きく、惑星である水星よりも大きい。ガニメデの表面を特徴付けているのが、明瞭に区切られた明暗2種類の地形である。暗い領域にはクレーターが多く、地殻変動をあまり受けていない古い地域である。一方、明るい領域には溝のような地形 (groove) が卓越しておりクレーターが少なく、暗い領域よりも後に作られた領域であると考えられる。溝地形は、表面に生じた引っ張り応力による正断層の集合と考えられるが、詳しい成因は良く分かっていない。
ガリレオ探査機による重力場などの詳細な調査の結果、ガニメデの内部は地球のようにいくつかの層を成していることが強く示唆された。21世紀初頭現在、ガニメデは中心から、金属質(金属鉄か硫化鉄)の核、岩石のマントル層、軟弱な氷の層、硬い氷の地殻という構造に分離していると考えられている。更にガニメデには磁場があり、これにより少なくとも金属核の一部は溶融していると推察される。
2015年3月12日、ハッブル宇宙望遠鏡を使ったオーロラ観測により、地下に海が存在する可能性が指摘された。ドイツ・ケルン大学のJoachim Saurのチームがガニメデを紫外線観測したところ、オーロラの揺れが本来予測されるよりも小さいことがわかった。天体内部にある導電性の液体、おそらく塩水により二次的な磁場が発生し、これが揺れを軽減していると考えられる。研究チームの推算によれば、厚さ150kmのガニメデの表層の下に深さ100kmの海があり、その水の量は地球の海よりも多いという。