先代はやぶさが航行途中にトラブルに見舞われたため、安定航行を目的としてさまざまな変更がおこなわれる。「はやぶさ」のようなパラボラアンテナに代わり、「あかつき」と同様のアレイアンテナを使用し、破損があった化学燃料スラスタ配管の再検討や制御装置であるリアクションホイールの信頼性向上などの改良が行われる。イオンエンジンはμ10の推力を8.5mNから10mNへと向上した改良型を使用する。
また、試料を取るための方法も大幅に改良される。まず新機能として、直径約20cm、重さ約10kgの円筒形の衝突体を利用する。衝突体は爆薬を内蔵しており、探査機本体から切り離され、本体が小惑星の陰に隠れた後に起爆、爆圧によって変形した金属塊を目標天体に突入させ、クレーターを作る。これによって小惑星表面だけでなく、小惑星内部の砂礫の採取が可能になる。このクレーターで試料を採取する。JAXAとしてこのような構造を持つ探査機は初めて。このインパクター(衝突装置、SCI:Small Carry-on Impactor)は、全体の質量が18kg、爆薬の質量は4.7kgある。銅板の質量は2.5kgだが、発射時に一部がちぎれて弾丸としては約2kgになる。インパクターの衝突時には本体は小惑星の裏側へ退避するため、衝突の様子を撮影するためにDCAM3と名付けた分離カメラを装備している。