昨年12月に打ち上げられたJAXAの探査機「はやぶさ2」が3日午後7時すぎ、地球に最接近した。ハワイ上空の高度約3100キロを通過しながら速度を上げ、方向を変えて目的地の小惑星「りゅうぐう」に向けた新たな軌道に入った。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、通過後のデータで、はやぶさ2の機能が正常なことが確かめられた。2018年夏に小惑星に到着して岩石試料を採取し、20年末に地球に戻ってきて試料が入ったカプセルが届く計画。6年間に及ぶ旅は次のステップに移った。
地上からはやぶさ2の旅立ちを見送る動きも。全国数十カ所の天文台や科学館が、地球に接近した時の姿を望遠鏡で撮影することに挑戦した。岡山県内では、美星天文台(井原市美星町大倉)の口径101センチ反射望遠鏡で観測。雲の影響は少なく、午後6時10分ごろには北西の空を北極星方向に移動するはやぶさ2の姿を捉えた。綾仁一哉台長は「計算された時間、位置を正確に通っており、技術に感心した。目的地に無事到着してほしい」と話した。倉敷科学センター(倉敷市福田町古新田)も美作市・大芦高原で撮影に成功した。
はやぶさ2は打ち上げ以来、地球と並走するように太陽の周りを回ってきた。3日に地球の重力に引かれながら近づき、小惑星と出合う方向に大きく進路を変えて通過。天体の重力を利用して方向転換し、燃料を温存しながら惑星間を飛行する「スイングバイ」と呼ばれる航法で、速度は秒速30・3キロから同31・9キロに上昇したとみられる。