矢立峠(やたてとうげ)は、秋田県大館市と青森県平川市の県境にある峠である。標高は258m。峠の東側にある奥羽山脈と西側にある白神山地との中間に位置する。秋田県側へと流れる下内川(米代川水系)と青森県側へと流れる平川(岩木川水系)との分水嶺ともなっている。古くから林業が盛んで、特に秋田杉の名産地の1つとして知られ、高度経済成長期の頃までは樹齢200年以上・高さ40m以上の天然秋田杉が数多く自生していた。
峠の周辺は豊富な温泉に恵まれ、日景温泉や矢立温泉、相乗温泉をはじめとする1軒宿の温泉や、碇ヶ関温泉郷などの小さな温泉郷が点在する。また、秋田県側の大館市長走陣場地区には「道の駅やたて峠」、青森県側の平川市には「道の駅いかりがせき津軽関の庄」がある。いずれの道の駅も国道7号沿いにあり、「道の駅やたて峠」には、「矢立峠温泉」も湧出している。また、「道の駅いかりがせき」にも、「関の庄温泉」と呼ばれる温泉入浴施設があり、温泉の熱を利用した屋内温水プールや温泉資料館なども併設されている。