『太陽の季節』は、石原慎太郎の短編小説。裕福な家庭に育った若者の無軌道な生活を通して、感情を物質化する新世代を描いた作品で石原の出世作。ストーリーが倫理性に欠けることで、発表されるや文壇のみならず一般社会にも賞賛と非難を巻き起こした。
ストーリーは石原慎太郎の弟・石原裕次郎が、ある仲間の噂話として慎太郎に聞かせた話が題材になっているという。また、文芸誌に発表した処女作『灰色の教室』にも、本作の題材になった話が1エピソードとして収録されている。雑誌掲載時、題名の横に、「健康な無恥と無倫理の季節! 眞の戦後派青年像は生れた」というキャッチコピーが付され、単行本が刊行されると芥川賞受賞も相まり、ベストセラーとなった。この時代は神武景気といわれる好景気で、1956年(昭和31年)度の「経済白書」には、「もはや戦後ではない」という文言が記された。単行本・文庫本を合わせた現在までの発行部数は100万部を越える。
『太陽の季節』は、1956年(昭和31年)の日活映画。
ストーリーは原作にほぼ忠実。原作者の弟である石原裕次郎のデビュー作(脇役)。もともとは原作に登場する文化風俗などを兄に代わって説明するような立場で関わっていたが、役者の数が足りなくなったため急遽出演することになった。この映画は、長門裕之と南田洋子が結婚するきっかけともなった。