
加工し易いので工芸品や装飾品の材料として重用されてきた。古くは正倉院にも収められているほか、職人の技術が向上した江戸時代には眼鏡のフレーム(徳川家康の眼鏡が有名)、櫛、かんざし、帯留め、ブローチなどに加工されて普及した。現在ではこうした装飾品の多くはプラスチック素材に変わったが、昔ながらの「鼈甲柄」を模していることが多い。鼈甲自体の手入れに関しては汗や整髪料には弱いので、眼鏡のフレームなどは空拭きで磨く必要がある。なお、鼈甲は人の体温によって微妙に変形する性質があることから、眼鏡の鼻当ての部分に使用すると掛けた人の形にフィットする。またプラスチックと違い、生き物に由来する材料なので繊維に方向性があり汗に濡れてもすべりにくい効果もある。鼈甲製の眼鏡が重宝される所以である。鼈甲のかんざしが良いとされているのも繊維の方向性のため、髪に挿した時、簡単にはずり落ちてこないからである。