薬師丸ひろ子の歌唱力に関しては、アイドル風でなく合唱団風と揶揄されることもあったが、「角川映画の主題歌の歌っていた当時から歌唱力は抜群。歌い方は正統派。基本に忠実な歌い方で、声も透き通る伸びやかな高音が魅力。これまでの人生経験で培われた彼女の人間としての魅力や女優としての経験が加わって歌の表現がより豊かになっている」と音楽評論家の富澤一誠は評価している。
歌手としても希有な才能の持ち主で、同世代の女子アイドルがぶりっ子キャラや歌唱力の拙さをアピールポイントとしていたのとは正反対のポジションで清楚で礼儀正しい歌唱が個性的だったと久保田泰平は解説している。内田正樹はアイドル時代から定評のある歌唱力、譜面に忠実で歌詞が明瞭に聴き取れる生真面目なファルセットは独特な包容力を持ち、女優特有の精緻なニュアンスの表現力を有していると評価する。
歌声について竹内まりやは「爽やかな声」、武部聡志は「透明感があり、鈴を転がすような暖かい声」と形容している。偶然にも二人が共通する表現は「(ボーカリストとしても)希有な声」。松任谷由実は「クリスタル・ボイス、水晶のような硬質な透明感」と表現している。