モルフォチョウは、北アメリカ南部から南アメリカにかけて80種が生息する大型のチョウ。"Morpho"は、ギリシャ語で「形態」・「美しい」を意味し、アプロディーテーおよびウェヌスの形容語句でもある。
体に比べて非常に大きな翅をもち、さらに翅の表側に金属光沢をもつのが特徴。この光沢は、青に発色する。これは翅の表面にある櫛形の鱗粉で光の干渉が起きるため、光沢のある青みが現れる。このような現象を構造色と言う。不規則な軌跡を描いて速く飛ぶのも特徴である。鮮やかな翅の色を持つのは雄で、雌は雄よりも地味な茶色か青みが少ないことが多い。
翅の裏側には褐色や灰色のまだら模様がある。翅の裏には目玉模様(眼状紋)がある種類が殆どで、分類上はジャノメチョウに近縁とされる。翅の表裏の色の変化で天敵を驚かせると考えられている。翅を閉じていると目立たない。
モルフォチョウは、森林に生息する。幼虫はマメ科の植物を食べる。成虫の寿命は約1ヶ月で、毒があるため捕食者はあまりいない。成虫は花の蜜よりも腐った果実、動物の死骸、キノコなどを好む。雄は川沿いなどをパトロール飛行する習性がある。生息地ではしばしば蝶園で養殖され、標本は土産物などにされている。モルフォチョウの標本は、体液が染み出て翅の構造色を損なうのを防ぐために腹部が除去されているものが多い。