オーストラリアの原住民であるアボリジニは、ミツツボアリをお菓子代わりに腹部のみを噛みちぎって食べます。このアリのお腹は高タンパクで栄養価があり、甘くておいしい。巣に蜜を蓄えるハチとは異なり、ミツツボアリは花蜜を貯蔵係の働きアリの体内に蓄えます。この生きた蜜つぼのおかげで、食べ物が乏しい時期にもアリの群れは生き延びることができます。
アリは蜜を出し入れするために、決められた暗号どおりに貯蔵係の触角をたたきます。すると貯蔵係は口を開け、閉じられていた蜜つぼを開きます。蜜の出し入れは、胃に付いている特別な弁によって制御されます。貯蔵係は数か月に及ぶ一生の中で何度か、蜜の出し入れを繰り返すようです。
貯蔵係のアリは安全な地下で動かずに暮らし、干ばつや暑さ、また他の虫に襲われる危険から守られています。真っ暗な地下にすむ貯蔵係は、細菌や菌類から身を守るため特別な腺から分泌した抗生物質を体に塗ります。