牛乳瓶とは、牛乳を販売するために用いるガラス製の容器。牛乳を始め、それを原料とするコーヒー牛乳やフルーツ牛乳の容器として用いられる。この容器は、回収されて再利用される。以前は学校給食用、宅配用の牛乳に広く用いられてきたが、大手牛乳メーカーの寡占化や販売チャンネルの変化、運搬の容易さなどから、多くは紙パックに置き換わった。しかし、紙パックの紙臭さを嫌い、瓶入り牛乳を愛用する者も少なからず居る。鉄道駅などのミルクスタンドでは、湯煎で加熱して販売することもあるためか、現在でも瓶入り牛乳が売られているところも多い。
牛乳は栄養価が高い反面、雑菌が繁殖して腐敗するなどの衛生面の問題が発生しやすい。このため衛生的にこの飲料を輸送し消費者の手元に届けるため、洗浄して再利用するガラス製の牛乳瓶と、使い捨てとなる紙パックが利用されている。
1900年には「牛乳営業取締規則」が定められ、一部の牛乳は瓶ごと高温の水蒸気で加熱して殺菌する高温殺菌法を利用するようになり、腐敗牛乳による集団食中毒が社会問題化した後の1933年には、殺菌処理が義務化された。当初は主に低温殺菌法(63~65度・30分)で瓶ごと湯煎して殺菌するために、牛乳瓶は加熱殺菌工程に耐えられる強度が求められた。その後、加熱殺菌工程は瓶詰め前に行われたが、リユース上の耐久性を担保するために長らく肉厚のガラス瓶が利用されてきた。
しかし近年、樹脂コーティングの強化により薄型・軽量化を実現し、これまでのイメージとは異なるスリムな牛乳瓶が、大手乳業に相次いで採用されている。さらに、大手メーカだけでなく、瓶入り牛乳類を販売している地場メーカでも、同様の新型瓶に切り替えが進められており、冒頭の画像のような牛乳瓶は急速に姿を消しつつある。