スターバースト銀河とは、太陽の10倍以上の質量を持つ恒星を短期間(約1000万年程度)で作っている銀河である。このことから、爆発的星生成銀河とも呼ばれる。2つの銀河が衝突したり近接遭遇した場合にこのような爆発的星形成(スターバースト)が引き起こされることが多い。通常の銀河でも星形成は行われているが、単位時間当たりの星形成率はスターバースト銀河に比べるとずっと少ない。スターバースト銀河での星形成は、そのまま星形成が続けば恒星を作る材料となる星間ガスを銀河の年齢よりもずっと短時間で使い尽くしてしまうほどの勢いである。良く知られたスターバースト銀河の例として、M82銀河やIC10銀河などがある。
スターバースト銀河の一種にウォルフ・ライエ銀河がある。これはスターバーストで生み出された恒星の多くがウォルフ・ライエ星として観測される銀河である。
おおぐま座のM82はスターバースト銀河の原型と言える銀河である。M82の活発な星形成は近くのM81銀河との近接遭遇によって引き起こされている。この付近の電波観測によるマッピングを見ると、中性水素の大きな流れが2つの銀河をつないでいることが分かる。これも近接遭遇の結果である。
からす座のアンテナ銀河(NGC4038,4039)も良く知られたスターバースト銀河である。1997年にハッブル宇宙望遠鏡によってアンテナ銀河の素晴らしい画像が撮影されている。
第一に、スターバースト銀河には恒星の材料となるガスが豊富に存在する必要がある。バースト自体は他の銀河との近接遭遇(例:M81/M82)や衝突(例:アンテナ銀河)、もしくは物質を銀河の中心部に落とし込むような別の過程(棒渦巻銀河の棒構造など)が引き金となっている。
スターバーストが起きている領域の内部は極端な環境にある。スターバースト銀河にはガスが豊富に存在するため、非常に質量の大きな星が多く作られる。このような若く高温の星は周囲のガス(主に水素)を電離してHII領域を作る。このような非常に高温の星の集団をOBアソシエーションと呼ぶ。これらの星は非常に明るく短命で、最終的には超新星爆発を起こす。
超新星爆発の後、爆発で放出された物質が膨張して超新星残骸が作られる。超新星残骸は周囲のスターバースト領域の星間物質と相互作用を起こして天然のメーザー源となることがある。
近距離にあるスターバースト銀河を研究することによって、銀河の形成と進化の歴史について知ることができる。例えばハッブル・ディープ・フィールド(HDF)には遠方のスターバースト銀河がたくさん写っているが、これらの銀河は非常に遠いために詳しく性質を研究することができない。しかし近傍のスターバースト銀河を観測してその特徴を調べ、HDF に写っている遠方の銀河が宇宙がずっと若かった時代に放出した光と比較することで、初期宇宙で何が起きていたかについて手がかりを得ることができる。