那智黒石の原産地は三重県熊野市神川町で、神川町は「那智黒石の里」として広く知られています。
中生層および古生層に出来あがったこの石は、その粒子ひとつが0.1ミクロンという、きめの細かい、緻密な粘板岩です。それだけに、自然石としての美しさはもちろんのこと、さまざまな用途の加工品として、その名を成してきました。
那智黒石は碁石の黒石、硯、床置石、装飾品、那智黒成型品などに加工され、伝統的な工芸品として親しまれています。那智黒石のキメ細かさと漆黒の持つ気品ある美しさには定評があり、実用品として、また贈答品や記念品としても喜ばれています。
那智黒石製品の主流である那智黒成型品(那智黒手磨き工芸品)は、那智黒石を粉末状に加工し、それに樹脂を硬化剤としてまぜ合わせたものを、型に流し込んで成型したものです。
この製品が現在、那智黒石製品の主流になった理由は、良質の那智黒石があまり産出されないようになってしまった事・板状に割れやすい性質の為に彫刻などによる立体的な加工をすることが困難・量産できなく高価になってしまうのです。