日本通運㈱ねぶた実行委員会・ねぶた師 林 広海
鬼剣舞という民俗芸能が、今も岩手県北上市周辺に伝わっている。刀を振りかざし、五色の忿怒(ふんど)の形相の鬼面をつけ、勇壮に舞い踊る。その鬼面には鬼ながら角はなく、仏教の五大明王を表している。この踊りは、蝦夷の地と呼ばれた東北の地で御霊となって亡くなった人々の鎮魂の儀式とも言われている。つまり、鬼剣舞の鬼とは仏であり、そう先の源義経であり、安倍貞任であり、阿弖流為である。彼らは、強力な中央政府に対して、まさしく「鬼」となって戦い、東北みちのくの地で散っていったのである。
このねぶたは、今でも心の中に生き続ける英雄たちの鬼面をかざす阿弖流為の勇姿に東北蝦夷のみなぎる魂を表現したものである。
管理者に無断での使用・複製・転載・流用禁止