『志村けんのバカ殿様』は、1977年に『8時だョ!全員集合』(TBS系)中に放送されたコントが初めで、1980年に『ドリフ大爆笑』(フジテレビ)でも行った。
ザ・ドリフターズで絶対的な権力を持っているいかりや長介と、最年少でいかりやに普段いいように使われている志村けんの立場を逆転させ、志村演じる自由奔放なバカ殿が家老のいかりやをここぞとばかりに翻弄するという下剋上コントだった。
バカ殿様の初出は不明だが、1977年放送の『ドリフ大爆笑』内の朝寝坊コント(普通の一般家庭で横一列に寝ているドリフメンバーが次々と寝返りを打ち、最後尾の人が部屋の外に落とされるコント)には既にバカ殿の原型が見受けられる。最後に落とされたのがなぜかバカ殿の格好をした志村で、「お前、それはないだろう〜」と言うオチで、時代背景やその後のバカ殿コントとは別物ものだった。
1980年前後の『全員集合』では、橋幸夫演じる立派な殿様の影武者としていかにも愚者らしい白塗りの顔の志村が抜擢され、城内で大騒動が起こるという内容のコントが披露された。当時は黒澤明監督の映画『影武者』が話題になっており、橋も漫才コンビザ・ぼんちのぼんちおさむに物真似をされて再ブレイクしていた。
志村けんがバカ殿を演じる時には独特のアクセントや言い回しを使うことが多いが、志村の郷里の多摩弁や親戚の使う福島弁が基になっている。