江戸時代後期から忍者が利用していたと考えられている青森県弘前市森町の「忍者屋敷」を、所有者が売却する意向を固めたことが分かった。忍者屋敷の研究を続けてきた青森大忍者部顧問の清川繁人教授は「保存を考えている人が購入してくれればいい」と願っているものの、買い手の意向によっては取り壊しの可能性もある。
清川教授によると「忍者屋敷」は杉山伊太郎、棟方嘉吉ら忍者の一族と考えられる者が所有してきたという。弘前藩に仕えた忍者集団「早道之者(はやみちのもの)」が集会などに利用していた可能性があるとみている。現存する忍者屋敷は国内でも珍しく、人が隠れられる空間や薬草を干した形跡などがある。
「忍者屋敷」を約30年間管理してきた會田秀明さん夫妻=青森市=は、税金や屋敷の手入れなどにかかる費用の負担が大きいことから、手放すことを決断した。7日までの取材に、秀明さん(83)は「自分も年を取り、肉体的にも経済的にも手放さざるを得ない。できれば屋敷ごと買い取って保存してくれる人がいればうれしい」と話した。
弘前市に保存を要請したこともあるが、前の所有者が住居として利用するために増改築を施したことなどを理由に断られたという。
弘前コンベンション協会は9月22日、10月12、20日の3日間、「最後の」と銘打った忍者屋敷ツアーを開催する。ガイドを務める清川教授は「観光資源としてもっと活用できるはず。新しい所有者が保存を望むのであれば、変わらず支援していきたい」と話した。 購入の問合せは會田さん(電話017-743-7009)へ。