即位礼正殿の儀は、即位の礼の中心となる、即位した天皇が日本国の内外に即位を宣明する儀式。皇居宮殿・正殿松の間で行われる。かつて天皇の即位礼は京都で挙行され、特に明治天皇から昭和天皇までは即位礼紫宸殿の儀と称した。今上天皇の即位礼からは東京の皇居・正殿で行われ、現在に至る。
今上天皇が即位した際、1990年(平成2年)11月12日に挙行された今上天皇の即位の礼の中心儀式の名称を「即位礼正殿の儀」と定めたのが初例。 天皇が自らの即位を国の内外に宣明する儀式であり、諸外国のいわゆる「戴冠式」や「即位式」に当たる。このため国内外から賓客が招かれ、特に国外においては国家元首あるいは首脳が参列する。参列者は正殿に相対する長和殿の春秋の間に着席する。この時中庭に仮設ステージを設け、春秋の間に入りきらなかった出席者分の席を確保して全員が儀式を見学できるようにした。
正殿中央には階段が設置され、中庭には幡旗が立てられ、文官武官の装束を身につけた総理府、宮内庁職員が「威儀物捧持者」として整列する。正殿松の間には高御座、御帳台がしつらえられ、男性皇族(皇太子・親王)と三権の長らは高御座左側に、女性皇族(親王妃・内親王)が御帳台右側に並ぶ。
今上天皇即位礼正殿の儀の「おことば」
さきに、日本国憲法及び皇室典範の定めるところによって皇位を継承しましたが、ここに即位礼正殿の儀を行い、即位を内外に宣明いたします。このときに当り、改めて、御父昭和天皇の六十余年にわたる御在位の間、いかなるときも、国民と苦楽を共にされた御心を心として、常に国民の幸福を願いつつ、日本国憲法を遵守し、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓い、国民の叡智とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。