株式会社オリエンタルから抜粋
昭和20年。だれしもが特別な思いを抱くこの年、いまも残る最長寿インスタント・カレーは生まれました。
戦前から、カレーライスは"洋風"料理として家庭にも少しずつ浸透し、人気を博していましたが、その作り方は、炒めた小麦粉にいわゆる純カレー粉を混ぜるというもので、意外と手間のかかる作業でした。
地元愛知県内で小麦や砂糖などの食料販売を細々と手がけていた星野益一郎は、終戦になると新しい事業を模索していましたが、カレーが家庭科理として普及しつつあることに着目し、その料理方法をより簡単にする商品を作れば売れると考えました。そこで、炒めた小麦粉に純カレー粉をあらかじめ加えた粉末状のインスタント・カレーを作り、 『オリエンタル即席カレー』を完成させました。
当時あんパン1個が5円。この『即席カレー』は5皿分で35円。決して安くはない価格にも関わらず、家庭の主婦はこれを喜んで台所に受け入れました。この『即席カレー』の意外なほどの人気ぶりに、星野はこれを愛知県内だけではなく全国的に販売していこうと決意し、宣伝カーを使って各地を回ることにしました。