竹森節堂は青森県弘前市中土手町生まれ。本名規矩次郎(きくじろう)。父親は町絵師だった。日本画家として、日本画の技法を初めてねぷた絵に導入。その精緻を極めた画風は「楷書体」と呼ばれ、「行書体」の石澤龍峡(1903~80年)と双璧をなした。
「ねぷたに灯が入り、威風堂々の進撃を開始すると、節堂ねぷたは他を睥睨(へいげい)し弘前の夜を圧した」(市立博物館協議会葛西敞委員長の序文より)とされる。県褒賞、県文化賞、弘前市功労賞受賞。
草稿集は2005、06年に遺族から寄贈を受けた作品のうち、72点の草稿を収録。原画の細かな線や墨の濃淡が忠実に収録されており、資料としても貴重だ。印刷を担当した、やまと印刷(弘前市)の会津博彦さん(59)は「紙が傷んだり黄ばんだりしているものもあり、再現するのに苦労した」という。
「子どものころ、この下絵が見たくて何度も博物館に足を運んだ」という、博物館職員で、現役のねぷた絵師でもある川村麗巴(本名・快之(よしゆき))さん(41)は「節堂に影響を受けていない絵師はいない。その絵はねぷたの原点であり、草稿集はこれ以上ない教科書のような存在」と強調する。
草稿集出版を長年の懸案にしてきた、学芸員の三上幸子さんは「ねぷた好きが結集して作った一冊。夏にじゃわめぐすべての人たちに、手にとってもらいたい」とアピールしている。
「郷土歴史シリーズVol・3 竹森節堂ねぷた絵草稿」はA4判、21ページで400円(税込み)。同博物館のほか、紀伊國屋書店弘前店、ジュンク堂書店弘前中三店でも扱っている。問い合わせは同博物館(電話0172-35-0700)へ。