ウルティマ・トゥーレは、カイパーベルトの中でも「冷たく古典的な天体」と呼ばれる、軌道に惑星の影響による変化があまり起きていないタイプ(力学的に冷たい)であるといわれている。そのため、46億年前に太陽系ができた当時の姿を留めている可能性があり、太陽系外縁部の天体を知る重要な手がかりとなる。
ニューホライズンズ探査機は、2006年に打ち上げられ、2015年7月に史上初めて冥王星の接近探査を行った宇宙探査機。1970年代から太陽系の惑星を連続探査したボイジャー1号、2号は冥王星に近づくコースをとれなかったため、かつては太陽系の9番目の惑星であり、現在は準惑星に分類された冥王星の探査は行われていなかった。
冥王星は、大型でメタンの氷を持ち、明るく見えるカイパーベルト天体のひとつで、巨大氷惑星の領域の天体でもある。2000年代始め、まだ探査されていなかった冥王星とその衛星カロンを探査する計画がNASAの最優先課題と位置づけられた。打ち上げ以来順調な飛行を続け、9年目に冥王星探査に成功。翌2016年に続けてカイパーベルト天体の探査を決定した。研究者として人生を冥王星の研究に捧げてきたニューホライズンズ計画の主任研究員、アラン・スターン博士は、ウルティマ・トゥーレの観測を「科学の大当たり」と期待を寄せている。