上野公園の最寄り駅として60年以上にわたって親しまれ、東京都の歴史的建造物にも選ばれている旧「博物館動物園駅」の内部が、営業終了から20年ぶりに2018年6月21日 に公開されました。
東京国立博物館の横に営業当時の姿のまま残る、京成電鉄の博物館動物園駅は1933年に開業し、上野公園の玄関口の役割を担ってきました。緑豊かな上野公園のすぐそばにある駅舎は西洋風の建物で、一見、駅には見えません。多くの人に親しまれた駅でしたが4両編成の短い電車しか止まれない長さのホームだったため、停車する電車の本数は次第に減り、1997年に営業を休止しました。
20年を経て、このほど駅舎を活用するための改修工事が行われることになり、着工前に内部が報道陣に公開されました。駅構内の壁にはメッセージ(落書き)もそのまま残されていて、当時の利用客の思いが伝わってきます。また、駅のホームはさまざまな設備のほか、看板や時刻表も当時のまま残されていて、まるで20年前にタイムスリップしたかのようです。切符売り場の中はレトロな雰囲気が漂っていて、構内放送用の設備や黒電話もあり、今どきなかなかお目にかかれない代物です。
レールの下をくぐる通路から向かいのホームに上がると、この駅の象徴となっていた「ペンギンの壁画」も残されていました。案内をした京成電鉄の広報・CSR担当、道吉優作さんは「東京芸術大学の学生が描いたという説もあるが、立証できる資料が残っておらず、作者は不明」と説明しました。
駅は、当時の様子が残されているだけではありません。ホーム自体はもう使われていませんが、電車は今もここを通過しているのです。
京成電鉄は建物はそのままに、内部の傷みを改修する工事や清掃を経て、駅舎を2018年秋ごろに一般公開する予定です。