1977年5月初版発行
超立体的に造築された未来都市。人は高速エレベーターで上下に移動して生活していた。そんな都市の中で、ぼくが出会った変な男──髪も髭も伸び放題でスケッチを描いていた目の綺麗な男──。ぼくはてっきり浮浪者だと思っていた。が、再び出会ったときの男は、何百日もかけて、この高層都市を最上階まで旅していることを告白した。そしてしばらく後、都市の人々が男のことを、聖人・英雄扱いしはじめたのだ。──そして、ついに彼が最上階に到達したときに起きた恐ろしい出来事・・・?!!人間社会に潜む様々な意識の暗部を抉る問題SF。全9篇収録。
これはジュブナイル小説ではないのですが、眉村卓のショートショートSFの中でも好きな作品です。主人公の追い詰められた様子が如実に描写されています。