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Channel: スチャラカでスーダラな日々
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ぼくは呼ばない 下

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ぼくは呼ばないなんとか公衆電話ボックスに逃げ込み、記事の続きを読むと、ふざけた調子で書かれていて
“その生徒たちはいずれも、普段は真面目すぎるほどの性格”とある

家に電話すれば、川上先生もいるかもしれない
その時、パトロールの警官に声をかけられる

康子の手に触れると、互いにうつろな目になり、警官は全身の力を抜かれて壁にもたれた

2人を追う人数は数十人にふくれあがる
「私はもう走れないわ」

公園に着くと、さらに大勢に取り囲まれる
「こわい!」 唐突に康子が道夫に抱きついた

恐ろしい電撃が走り、全身が火柱となって燃える
この群衆に押し潰されて死ぬくらいならマシだ

2人が気付くと、群衆は夢から覚めたような顔で散っていくところだった

家に着くと、やはり川上先生がいて、これまで20例以上囁かれいることを告げる

「実際はもっと多いだろうね 外聞の悪い事件は、外部に漏れないよう処理される傾向があるから 相手は脳の活動が低下して、2時間も休めば元に戻るよ
 すでに研究に着手していたグループの報告によれば、両方とも被害者と考えられるんだ

 吸引力は、本人が備えていたものではない いわば寄生生物だね
 なぜ高校生にとりつくかは分からないが、内省的な若者が、彼らにとって住み心地がいいのかもしれない

 彼らにとって、仲間の宿った人間には用はないから、互いが触れ合った時、警告の意味のショックがあったわけだ
 それを無視したため、反発した寄生生物は耐えられなくなって飛び出していったという説も成り立つ」

道夫は、自分がひどく可哀相なマジメ人間のように思えて苦笑した

「明日の朝帰ります 試験が近づいていますので」
康子の頬にも苦笑に似たものが漂っていた

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