弘前市民に長く愛されてきた大切な桜、この桜を代々守ってきたのが「桜守」の存在です。弘前市役所緑地公園課に務める橋場真紀子さんは、2006年に樹木医の資格を取り、2014年に念願の「桜守」となります。仕事の大半を占めるのが園内の桜などの木の状態を「見る」こと。
桜の開花の季節が近づくと、毎朝2時間以上をかけて園内を見回り、木の状態を観察します。それは「見る」というより「診る」という作業。枝や幹は雨や雪、風などに曝されるうえに、最近では、酸性雨や排気ガス、桜の木の回りを囲むコンクリートの影響など、木を衰弱させる環境が増えているそうです。
枝や幹はもちろん、根の状態、 花の咲き方、花の数、そして、落ち葉の状況まで気を配り、痛んだ木は手当をしてゆきます。 手当の七つ道具は「剪定鋏」「鋸」そして、「双眼鏡」、「樹木用の薬液・消毒液」など。常時携帯して大掛かりなもの以外は、自分の手で処置をします。
特に、桜の木の健康と花付きを守るため、最も大切な作業とされているのが剪定作業です。2月から3月にかけてが桜の木の剪定の季節になりますが、弘前公園では剪定の後の枝の切り口を消毒する時に、消毒剤に墨汁を混ぜたオリジナルの液を作り塗っています。切り口に菌がつくことを防ぎ、切り口の見た目の痛々しさもなくしてくれる弘前独特の手法です。
1973年生まれ。大鰐町出身、弘前中央高校卒業。1999年から市みどりの協会で弘前公園植物園のガイドや、市民の植物や園芸の相談に乗る「みどりの相談員」などを務めた。2014年4月から弘前市公園緑地課主事。