赤道儀式架台は極軸を天の極に向けることで極軸の回転だけで天体を追尾できるものであり、観測前に極軸を天の極に向ける極軸合わせをする必要がある。これを短時間で精度良く行うため、市販されている赤道儀式架台の大部分には極軸に小望遠鏡が組み込まれている。
方位磁針などで北を把握し空を見ると、自分のいる土地の緯度と同じ高度に北極星(ポラリス)が見える。2等級と明るく、近くに明るい星はないのですぐに分かるはずである。正確に言うと方位磁針は正確な北よりも西にずれた方角を指す。
肉眼で北極星を発見できたら、極軸がだいたい北極星の方向を向くように赤道儀式架台を地面に設置する。地面が柔らかい時は沈み込んだりしないよう先端を地中に沈められるだけ沈め、または石などの硬いものの上に置く必要がある。極軸望遠鏡を覗くといくつかの星とスケールパターンが見える。星が円板状に面積を持って見えたり、スケールが不鮮明であったら極軸望遠鏡の接眼レンズ付近にある視度リングを回して鮮明に見えるよう調整する。一番明るい星が北極星であるが、自信が持てない場合は片目で極軸望遠鏡を覗いたままもう片方の目も開き、裸眼で見ている北極星が極軸望遠鏡の視野中心と一致させる。極軸望遠鏡の視野に北極星が入っていれば観望用には充分な精度がある。
極軸望遠鏡にはスケールが入っており、これでさらに精度を上げられる。右写真のスケールは、北半球と南半球の両方で使えるように工夫されたスケールである。南半球では、はちぶんぎ座に極軸望遠鏡を合わせると天の南極に合わせられる。