弘前の五重塔は、津軽藩創始時期の激しい戦で出た多数の敵味方の戦死者を供養するため、寛文七年(1667)年に竣工した町中を見渡せる高台にあります。この五重塔の階段を降りると銅屋町。ここに戸田うちわ餅店があります。
うちわ餅。その形がうちわのように広がっている様から名前が付けられました。戸田さんの創業は明治との事。もともと麺やお餅を作っていましたが、分家し、現在のうちわ餅店になっています。
うちわ餅(1本120円)は、もちを薄く伸ばし、うちわ状に切り、そして串を打ち、特製のごまダレをたっぷりとかけたものです。黒蜜にたっぷりのごま。そしてしっかりしたお餅。弘前の情緒を感じさせる一品です。
餅そのものに一切の添加物を入れない昔ながらのうちわ餅と串餅は、その日のうちに食べないと固くなります。それが反面、まじめに作っている証拠でもあります。船形に織り上げた紙の器からうちわ餅を取り出し、ごまだれをしごくようにたっぷり付けて、口いっぱいにほおばります。