トリトンは、海王星の第1衛星かつ海王星最大の衛星。太陽系全体でも7番目の大きさである。海王星の発見からわずか17日後にウィリアム・ラッセルによって発見された。名前の由来はギリシャ神話、ポセイドン(海王星)の息子トリートーンから。
トリトンは-235度の極寒の世界で、冥王星より約10度低く、セドナ等を除く太陽系の主要な天体ではもっとも温度が低い。これは反射能の高さによるものと考えられる。大気は微量のメタンを含んだ窒素であるが、気圧は僅か0.01ミリバールにすぎない。表面の大半は窒素とメタンの氷に覆われ、特に南極冠付近はピンク色の霜で覆われている。また、クレーターはほとんどなく、山脈と峡谷が複雑な模様を描いているため表面は比較的若く地球のように更新され続けていると考えられる。星の構成物質は水が1/4で残りが窒素化合物、メタン、そして岩石からなるコアでできている。海王星との潮汐力の作用によるものか火山が存在しており、液体窒素と液体メタンの溶岩を噴出している。火山と言っても、噴出している物体が0度を遥かに下回るものの為、氷火山と呼ばれている。実際にボイジャー2号によって上空8km、風下140kmの噴煙が撮影されている。噴火のエネルギー源は潮汐力以外に、季節による太陽エネルギーの変化が原動力との説がある。氷火山で最大のものは、噴出物の巨大な黒い模様から「ナマズ火山」と名づけられている。
その後のハッブル宇宙望遠鏡の観測によって最近温暖化(+2度)していること、気圧が倍増していることが確認された。