東京都心の皇居の一角で、30頭以上の馬が飼育されている。世話をするのは、宮内庁の車馬課主馬班。馬を専門に扱うユニークな公務員集団として新任大使の送迎の馬車列を運行し、馬術の伝統を引き継いでいる。
宮内庁で実演される古式馬術は、宮内庁車馬課の主馬(しゅめ)班が保存に努めている「打毬(だきゅう)」と「母衣引(ほろひき)」の2競技で、打毬は両陛下も皇太子ご夫妻時代にお子さま方らと親しんだ。「伝統文化の維持保存も皇室の役割」とする両陛下の意向を踏まえ、この機会に披露されることになった。天皇陛下が即位して以降の三権の長や大臣、衆参両院の副議長を招く。
「打毬」は伝統的な衣装を身につけた騎手が4騎ずつ紅白のチームに分かれ、まりを拾って的に投げ込むもので、「母衣引」は、騎手が背負った筒状の布をたなびかせながら馬を走らせる競技。終了後は宮殿で茶会が開かれるという。
1982年2月、皇居、宮内庁提供